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平成21年補正予算

  「一校あたり1100万円」を活かす
  査定なしで通るケースも



最善の環境を計画する

 次のポイントは、わかる授業の実現、情報活用能力の育成のために「今考えられうる最善・最高のICT環境実現」を前提とした計画立案を行うこと。4つの目標を達成するだけではなく、各自治体において理想とするICT環境の整備計画を立てること。4つの目標達成を織り込んだものであれば、ソフトウェアの整備やプロジェクター、レコーダ、スクリーン、電子黒板の整備、教材提示装置、デジタルカメラ、セキュリティシステム等の設置計画を織り込むことが可能。  その計画にかかる金額の地方負担分約2分の1分として積算されている「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」総額1兆円を、各教育委員会が可能な限り最大限確保することが、その後の計画のスムーズな進捗につながる。

実態に合わせた 計画を立案する  

  今回の補正予算で大きな目玉となるのが、地デジ化の対応だ。  電子黒板機能付きデジタルテレビまたはデジタルテレビで、現在教育活用されているテレビ全てを入れ替えることが目標だ。デジタルテレビに関しては、入力端子があるか、あるいは変換アダプター等を使ってPCや実物投影機などを接続できるものとなっている。5月27日には、プロジェクター(固定式)投影型スクリーンも対象になった。  デジタルテレビに関しては50インチ以上が推奨されているが、例えば「職員室や教科準備室等で学校放送番組の録画用に教員が活用している」テレビならば、その大きさに満たなくても「教育活用されているテレビ」として認められる。  また、現在全教室にテレビが設置されていた場合でも、「教育活用されているのは特別教室の3台」という実態であれば、その3台をデジタルテレビとして整備することもできる。その際、普通教室はプロジェクターとスクリーン、ブルーレイレコーダ等録画機器としたり、さらにはデジタルカメラの補充、ソフトウェアの強化を盛り込むという選択肢もあり、4目標さえ達成されていれば、周辺機器の整備ができる。

様々なパターンを想定

 文科省担当者は「様々なパターンの申請が考えられる。現状考えられる最大限のICT環境を計画立案することで、整備目標を100%達成するだけではなく、さらにその整備された環境を最大限に活かせるような環境整備を考えてほしい。そうしたうえで、地方負担分を早急に2分の1確保してほしい」と述べる。  国庫補助2分の1分については、「全教育委員会からの交付申請額総額が2000億円で間に合えば、全て申請は通ることになる」という。なお、申請額総額が予算額を上回れば、申請内容によって認められない項目も出てくるが、額が上回ったからその申請内容が全て却下される、というわけではない。  経済波及効果を狙った予算である、という側面から膨大な予算が確保できた反面、その実施は急を要しており、各教育委員会にとっては厳しいスケジュールであるが、将来的に同規模の予算確保は難しい、ともいわれており、補正予算を最大限有効に利用することが望まれる。  全校全教室に電子黒板機能付きデジタルテレビが導入されるモデル校130校については各教育委員会を通じて依頼済。

「査定」なしで 通るケースもある

 5月25日、文部科学省から「学校ICT環境整備事業」に関する周知について、各教育委員会に通知が出された。それには、「4つの整備目標の達成は、周辺機器や電子黒板複数台等の申請に際する必須条件ではない」、「全国からの補助希望総額が国の予算総額を下回った場合には、補助金について査定は行わない」と明示されている。補助金申請総額が下回った場合は、4つの目標達成を織り込んだ計画ではなくてもそのまま申請は通る、ということだ。
 また、デジタルテレビの設置方法については、当初「専用台または壁掛け方式が望ましい」との説明が、「現場の希望が強い場合には天吊り方式も可能」と明示された。

 JAPETのWeb(http://www.japet.or.jp/)では、文部科学省が各地で実施してきた平成21年度補正予算案の「学校ICT整備事業」に関する説明会の最新FAQが掲載、サーバやリース料金、そのほか周辺機器やソフトウェアが補助対象になるか否かについて掲載されている。文書は更新されており、当初認められなかったものが今は認められている、という場合もある。
 文部科学省としては「使いやすいICT環境を念頭にどんどん申請してほしい」という主旨。1校あたりの平均事業総額は1100万円。これを有効に活用したい。
           
 ◎4目標達成に向けた学校ICT環境整備事業(事業費総額4081億円・原則1/2国庫補助 補助裏は「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」等)積算内容 @デジタルテレビ(電子黒板機能付き含む)44万台=1183億円(設置費用込・50インチ以上1台25万円) Aアンテナ工事=87億円 BPC整備196万台=2491億円 CLAN整備=310億円

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関連情報リンク

  • スクールニューディール構想(ICT編) 教育委員会の「誤解」「誤認」も明らかに (0900703)
  • 【特集】「教育の情報化の手引」で実現する学校環境(090608)


  • 【2009年06月06日号】

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