教育DX関連の展示会EDIX関西2024が10月2~4日に大阪で開催され、3日間で約5600人の教育関係者が来場した。本展示会に出展した日本HPは、AIのパワーに対応した新しいプロセッサー「インテル® Core™ Ultra プロセッサー」が搭載されたHP AI PCなどを各種紹介。あわせてLTE使い放題モデルのPCや生成AIを安全に利活用できるローカルな校務環境、DXハイスクール向けなど新たな教育環境を提案した。いくつかの提案を紹介する。
AI PCが登場!その定義は
対話型生成AIを始めとして画像や音楽など様々な生成AIが学校の業務にも影響を与え始めている。そこで「PC上でAIを利用することは既に前提」「AIの利用でPCが進化する」と考えた「AI PC」が登場した。
IntelとMicrosoftは「AI PC」の定義を次のように定めている。
・CPUやGPUに加えてAI処理に特化したプロセッサーNPUを内蔵していること
・Copilotに対応していること
・Copilotキーを搭載していること
新しいプロセッサー「インテル® Core™ Ultra プロセッサー」は、「GPU」「NPU」「CPU」を搭載しており、高パフォーマンスや省エネ、高速レスポンス等それぞれのプロセッサーがもつ特徴を発揮できるように開発された。
NPUを搭載したAI PCであればCPUに負荷をかけずにAI処理ができるため、消費電力も大きく軽減する。
また、AI機能によりセキュリティも強固になる。
インターネットに接続していなくてもAI関連の処理ができる点も特徴だ。
Wi-FiもLTEもPCを開くだけですぐに通信
PCを開くだけで学校ならWi-Fi、校外ならLTEですぐに通信できる――そんな環境がPCの購入費のみで実現する。
HP eSIM Connect対応のAI PC は、PCを購入することでLTE/5G回線を5年間、容量無制限で利用でき、教員のロケーションフリーな働き方改革に貢献する(参考価格は約19万円~)。
PCの盗難・紛失対策もバージョンアップ。
「電源オフ/ネット未接続」であってもPC探索や操作ロック、データ消去が可能なオプション「HP Protect and Trace with Wolf Connect」を低コストで用意している(年間約5000円程度・最大5年間限定)。
本機能は日本HPによると世界初ということだ。
対応機種は「HP EliteBook1040 G11」など。
LTE使い放題モデルは応用パッケージで提案
日本HPではGIGAスクール構想第2期に向けたGIGA端末「基本パッケージ」「応用パッケージ」Windows/Chromebookをそれぞれ提案。
共通機能は「キーボード上部に格納&充電できるタッチペン」「ペン先のみに反応し手が当たってもそれは認識しない(いわゆるパームリジェクション)紙のように筆記が出来る画面」「いたずらなどで剥がれにくいキートップ」「堅牢性(MIL規格19項目をクリア)」「1000回の充放電に耐える高耐久性バッテリー」など。
タッチペンは左ききの子供にも使いやすいように左右どちら向きにでも格納できる。
ペン上部には消しゴム機能も搭載した。
GIGA端末の故障で最も多かったものが、キーボード部分が着脱式である「デタッチャブル型」のヒンジ部分であったと指摘する日本HPでは、現在はディスプレイ部分が360度回転するコンバーチブル型のみを提供。さらに堅牢性を高めるためヒンジは2つ使用して本体とキーボード部分を接続している。
また、キートップの故障が起きにくいようにキーボードにすき間がない仕様としており、水分をこぼしても本体内部に影響がないようにしている。えんぴつやペンなどでキーボードトップを剥がそうとするいたずらも防ぐことができる。
バッテリーも5年間交換不要で稼働できる耐久性を備えた。
LTE/5G回線を5年間容量無制限で利用できるHP eSIM Connect対応モデルは応用パッケージとして提供。
ネットワーク回線の増強が様々な理由によりすぐに対応できない地域に喜ばれているという。本モデルであれば自宅や校外学習のほか校内Wi-Fi不調時にも学びを継続できる。今後必須となる学力・学習状況調査のCBT化にも対応できる。
リユースプログラムfor GIGAも提供。メーカーを問わず廃棄したいPC・端末の無償引き取りも行っている。
ニーズに合わせたハイスペックPCを提案
DXハイスクール向けにハイスペックなPCとしてワークステーションを提案。
「画像処理に力を入れたい」「生成AIを利用したい」「eスポーツに力を入れたい」などのニーズ別に必要となるPCスペックが異なることから、日本HPではニーズに合わせたワークステーションを提案している。
ワークステーションは、GPUを搭載することで3D設計や画像・動画・VR編集など高度な実習まで対応できる高パフォーマンス環境をローカルで提供できるもの。通常のPCではスペック不足になるニーズをカバーできる。
モバイルワークステーションとしてGPUも搭載できる14㌅型、16㌅型も提供している。
クラウドに接続していないローカルなオンプレミス環境でAI処理
オンプレミス環境でプライベートデータを学習させて、独自の生成AIを作成できるSmart AI Toolboxを搭載したワークステーションを紹介。
ワークステーションはローカルなオンプレミス環境で利用できるため学校独自のプライベートデータを学習させてそれぞれの学校の用途に合った生成AIアプリを作成することも可能になる。学習させるデータを担当者がファクトチェックできる範囲のものに限定することもでき、ハルシネーションも起きにくく確認・判断もしやすくなる。
対応機種は「HP Z6 G5 A Workstation」など。
日本HPでは(株)SENTANの協力を得てSmart AI Toolboxを利用した生成AIアプリ作成などのサポートを提供している。
合同会社かんがえる 五十嵐晶子氏が講演
現在、日本HPは合同会社かんがえると(株)SENTANの協力を得てICT支援員のノウハウを学習した「バーチャルICT支援員」の生成を実証しているところだ。
かんがえるの五十嵐晶子氏はバーチャルICT支援員の生成についてブース内セミナーで報告。
「ICT支援員の人手不足や能力不足の解決のため、AIが基本的なトラブルシューティングを高速処理できる仕組みができれば良いと考えた。
ICT支援員のノウハウを言語化できれば、生成AIは学習が可能。ICT支援員が身につけるべき基礎については、適切な公開データをAIに学習させることで、ICT支援員の現場での対応に重要な役割を果たせる可能性がある」と話した。