教育委員会対象セミナー・東京 ICT機器の整備計画/校務の情報化

教育委員会や学校の整備担当者を対象にした教育委員会対象セミナーが12月7日、東京都内で開催された。主催は教育家庭新聞社。今回で第27回となる本セミナーは、総合教育会議の影響か、首都圏を中心に全国の教育委員会からこれまで以上に多彩な部署の参加があった。2月は名古屋、3月は岡山で開催する。詳細日程は教育家庭新聞Webへ
詳細=www.kknews.co.jp/semireport

タブレット1人1台 充電保管庫は収納型 千代田区立神田一橋中学校・太田耕司校長

千代田区立神田一橋中学校・太田耕司校長
千代田区立
神田一橋中学校
太田耕司校長

校舎改修でICT環境を一新

千代田区教育委員会の情報教育の推進校として指定されたのが、千代田区立神田一橋中学校だ。同校では平成25年の学校校舎の改修を機会に、ICT環境の整備を進め昨年度から活用を開始している。

教員と生徒1人1台のWindowsタブレットは約280台。黒板には移動できるプロジェクター型電子黒板を設置し、黒板全面を広く使うことができるよう、左右のレールを教室いっぱいに設置した。また、タブレットPCの保管・充電庫は黒板下に40台分を収納型で設置した。

改修前から使用している書画カメラは教室前方に設置してスイッチやコードを1か所にした。改修前はDVDとの接続も配線をその都度行わなければならなかったが、すぐに活用できるようになった。

無線LAN環境も構築。無線LANを使って電子黒板に簡単に提示できる「無線画面転送装置付きアクセスポイント(AP)」を設置。さらにWi‐FiのAPを校内62か所に設置してどこでも接続できるようにした。APの数は重要でWi‐Fiの接続環境に大きく影響すると太田校長は語る。

ICT環境の導入に関しては、いくつかのポイントがある。

まず、機器の接続に時間をかけず、必要な時に必要なものが活用できる環境の構築だ。タブレットPCなどのICT機器やシステムは導入前に複数を試し、教員の使いやすさを検証してから機種を選定した。ICT支援員は、導入前の環境整備に関する企画期から携わり、共に環境を構築。さらに導入期にはICT支援員の来校日数を増やした。

次に、教員のスキルはすぐに完璧を目指すのではなく、段階的なレベルアップを目指すこと。ICTの導入を検討している企画期に実施した研修は、教員の意識向上をテーマに研究者や校長が実施。導入期には実践的な研修を実施した。

教員と生徒へのアンケートによると、教員のタブレットPCの利用率が本年の10月には92%まで上昇した。

具体的な活用が各教科で始まっている。多いのは教員による教材提示で、体育、家庭科、美術などの実技系科目ではカメラ機能の活用と大画面提示が頻繁に活用されている。家庭科では裁縫の方法を短い時間に細かく区切った映像を作成し、やり方が分からなくなった際に閲覧できるようにした。道徳でも協働的な学びに活用した。

学校HPの家庭学習活用も検証をスタート。教員が作成した5〜10分程度の映像教材を学校HPにアップして、家庭での学習活動に活用することができるようにした。アンケートによると、定期テスト前には全生徒の8割が学校HPを活用しており、成績上位の生徒のほぼ全員が学校HPの教材をチェックしていた。

今後、協働学習や校外学習でのICT活用や個別学習システムの導入で家庭との連携を図るなど、ICTを授業にうまく取り入れる実践をさらに広げていく考えだ。(講師=千代田区立神田一橋中学校校長・太田耕司氏)

【第26回教育委員会対象セミナー・東京:2015年12月7日】

【2016年1月1日】

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