平成18年度、当時最先端の環境を構築した市川市。しかしシンクライアント端末の起動が遅いなど使い勝手に課題もあった。そこでスクール・ニューディール政策による補正予算ではインフラの整備を優先し、LAN配線の張り直しを行った。これによりシンクライアント端末の起動が速くなるなど、環境が改善された。さらに平成24年度は電子黒板機能付きプロジェクターや書画カメラ、書画カメラに書き込みができるタブレット、マグネットシートをICTカートに搭載したセットを255学級に導入。小学校の全普通学級にはデジタルTVが配備されていたことから、セットは主に中学校に配備。同時に校務支援システム「エデュコムマネージャーC4th」と学習支援システム「eライブラリ」を導入、図書館管理システムも更新した。
校務支援システムの運用は平成25年から。全校で「連絡・書庫」「校務・スケジュール」機能を、モデル校(4小学校・2中学校・特別支援学校)では「児童生徒」「保健」機能も導入。来年度から通知表作成を含めた全機能の運用を全校で予定している。
児童生徒機能や保健管理機能などは市内統一で、通知表は学校ごとにカスタマイズ。結果200種類以上の通知表を作成する。
校務支援システムに関する研修では、全校向けとモデル校向けを実施。全校向けには、新任校長、教頭、教務主任、情報教育担当者を対象にした役職別研修だ。モデル校では通知表作成について訪問研修を行った。さらに各校からの要請により教育センター職員による訪問研修も行う。
最も時間がかかるのが各課との調整だ。予算措置は財政部門と折衝。システム・機器等の調達は情報管理課、契約の方法は契約課、各帳票のカスタマイズは義務教育課、指導課、保健体育課など。通知表カスタマイズについては各校と調整する。さらに活用を図るためにはきめ細かい周知と研修も必要だ。運用開始後は障害への対応も始まる。モデル校へのサポートや要望の精査・調整も必要だ。
鳥越氏は「研修は毎年必要なもの。予算の確保や内容・実施時期など課題は多いが事例を集め知識を蓄積、実績を上げるなど努力を継続し、教育の質を向上させていく覚悟で進めていくしかない」と述べた。
【2013年8月5日】
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