タブレット端末の活用に最適な無線LAN環境とは

 子どもの学習意欲向上や簡単な操作性などから、学校のPC教室整備入れ替えの際にタブレット型端末の導入を推進・検討する自治体が増えている。特別支援学校への集中導入や教員指導用としての導入、研究指定校への重点的な導入など「第一歩」の進め方は各自治体により様々だ。総務省・フューチャースクール推進事業の担当事業者は、タブレット型端末を含めたICT活用促進のためには「安定動作するプラットフォーム技術の必要性」を指摘している。この「安定動作」を要求する項目のひとつが「無線LAN環境」だ。学校で安定して活用できる無線LAN環境構築のポイントについて、ネットワーク機器において世界でトップシェアを誇るシスコシステムズ(以下、シスコ)の小野裕一氏(パブリックセクター事業・文教営業部部長)に聞いた。

  初等中等教育においても「無線LAN活用」が増えている。しかし「特定の時間・教室で不安定」「速度が遅い」「教室内で移動すると不安定」「最近急につながりづらくなった」というトラブルも起こっているようだ。このようなトラブルは家庭利用と同じ感覚で導入を進めると陥りやすい。学校で安定して活用するためには、無線LAN技術の理解とともに適切なシステムの選択が重要だ。

集中管理で シンプルに運用

  「無線LANアクセスポイント(以下、AP)」には、AP単体で動く「分散管理型」とコントローラで集中管理する「集中管理型」がある。一般的に、家庭用で利用されているものが分散管理型に分類される。快適な学校環境構築のためにシスコが推奨しているのが、「集中管理型」だ。「集中管理型」は、教育委員会にコントローラを置いておけば、各校ではAPを情報コンセントにつなぐだけで無線LAN環境が実現できる。APごとの設定が不要なため一教室ごとに設定する必要がなく、設置の際の人的コストも削減できる。故障箇所もすぐに把握でき、IT担当者ではなくても電球を交換する感覚でAPの故障など急な交換や増設に対応が可能だ。教育委員会によって学校規模は様々だが、それにはコントローラ上のライセンスの変更で対応。「集中管理のための作り込み」がシスコの強みだ。

電波管理は自動で 「再起動」不要

タブレット端末の活用

電波の干渉状況をひと目で把握

タブレット端末の活用
安定した無線LAN環境の構築は学校の
ICY環境の活用・推進につながる

  無線LANは「通信している人が多いとつながりにくくなる」性質がある。電波状況は常に変化するため、それに対応できないと接続が不安定になるからだ。「理由はわからないが、つながらない」と言われ技術担当が現場に駆けつけても状況は既に変化しており、解決すべき問題点を追究できない場合もある。

  しかし、「刻々と変わる周囲の電波環境を把握し、それに応じた設定を自動調整できるAP」であれば、常に安定した動作環境を確保することができる。シスコの「電波資源管理(以下、RRM)」は、周囲環境を常時把握して自動設定できる機能を持つ。

  家庭用の無線LANで、接続が悪くなった際「再起動すればつながる」現象を経験したことがある人もいるだろう。それは「設置して最初に起動したときの電波環境に最適化しているため、その後の電波環境の変化に対応できていない」ことが理由。無線の電波管理を常時人手で行うことは不可能だが、シスコの「RRM」は自動的に電波管理を行う。その自動調整も、調整後の環境をシミュレーションして改善が図れる場合にのみ行うという賢さを持つ。無線の電波管理を自動化するには、頻繁に設定が変わることで不安定にならないようなシスコの「RRM」機能が必須といえる。

電波の干渉状況を 可視化・問題を解決

  無線LANは電波が強すぎても弱すぎても「干渉」を避けられないため、接続が不安定になる可能性は常にある。しかし干渉の原因を普段から簡単に把握できれば、それを予防することができる。

  それに対応できるのが「Cisco CleanAir」だ。これは「電波の干渉状況を可視化」できるもの。電波状況がひと目でわかるので、例えば「家庭科室で電子レンジを使うと隣の教室の無線LANが稼働しなくなる」「監視カメラの電波に干渉を受けている」といったトラブルの「原因」を視覚的に突き止めることができる。各学校・地域によって接続できなくなる理由は様々だが、その知識を蓄積することで未然にトラブルを防ぐことができる。その多くは電波の専門家不要で解決できるので、管理コストの削減やパフォーマンスの向上につながる。

学校ニーズ満たす 高機能無線LAN

  タブレット端末の学校活用の要件について、現場教員は「30台のタブレット端末を同時に作動した際、常に安定して円滑に動くこと」をまず挙げる。しかしこの実現は、そう簡単なことではない。学校に求められている無線LANは、いまや想像以上に「高品質なもの」になっているのだ。

  さらに今後はタブレット端末だけではなく、プリンターやプロジェクターなど周辺機器が無線LAN化していく可能性は高く、求められる要求はますます高くなっていく。無線LAN環境を実現するAPは、大きく分けて「自宅用」「小中規模用」「ビジネス用」に分けられるが、多くのタブレット端末が「いつ使っても稼働する」環境を実現するには「ビジネス用」の高品質なものが必要であることを踏まえ、学校の環境構築に着手したい。

EDIXで実機も

  実機はEDIX(詳細)で見ることができる。【学校業務支援ゾーン・小間番号13‐14/ネットワンシステムズまたは教育用ハードウェアゾーン・小間番号3‐15/ダイワボウ情報システム】。

【2013年5月6日】

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