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平成21年補正予算

  「一校あたり1100万円」を活かす
  査定なしで通るケースも

 学校のICT環境整備の目標達成が遅れている。そこで文部科学省では、今世紀最大とも言われる補正予算を要求、一気にこれまでの目標を達成する考えだ。中でも「学校ICT環境整備事業補助金」には、「ICT環境整備」「経済危機対策」「地デジ対応」など様々な事情・思惑が込められ、現場には理解が難しい状況でもある。そこで本紙では、教育の情報化に関わる平成21年度補正予算を各教育委員会が有効に活用するポイントについて考える。

 平成21年度補正予算を効果的に活用するには、いくつかポイントがある。
 まずはその詳細を理解すること。次に各教育委員会は計画立案を早急に行い、補正予算を活用するという意図を各自治体財政部局に明確に表すこと。計画提出締切は6月12日となっているので、迅速な対応が求められる。また、計画については、わかる授業の実現、情報活用能力の育成のために今考えられうる最善・最高のICT環境実現とし、地方公共団体負担分に「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」等を確実かつ最大限に確保することも重要なポイントだ。

 西宮市教育委員会では、文部科学省からの通知を受け、計画中だった校務のIT化計画を一旦中止、再度計画を練り直すことを発表、補正予算活用に向けていち早く動き出した。5月中旬には集中的に補正予算に関わる説明会が各自治体で実施されている。

補正予算の「表」と「裏」を理解する

 平成21年度補正予算は、各学校のテレビのデジタル化を含め、これまで達成できていなかったICT環境整備の目的を一気に達成することが狙い。平成21年度本予算で認められなかった項目も含まれている。
 4つの目的は以下。
 @全てのテレビをデジタル化 A校務用PCを教員1人1台 B教育用PC児童生徒3・6人に1台 C全ての普通教室に校内LANを整備
 本事業に関する総額費用は4081億円だ。そのうち2分の1にあたる約2000億円が、国庫補助金「学校ICT環境整備事業補助金」等(財政力指数0・5以下の離島・へき地にある小中学校の補助率は3分の2)。2分の1にあたる約2000億円が、「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」等となる。
◇   ◇
 「補助金」は通常、「費用の一部(今回の場合、原則2分の1)を国が負担する」というもの。
 しかし「そのもう半分を地方が負担できない」という声から、「残り半分に関しては臨時交付金として地方公共団体に支給する」、それを「1兆円用意する」と答弁したのが鳩山総務大臣だ(4月16日)。地方公共団体負担分を「裏負担」と呼ぶ。「裏負担」分に交付金を充てることにより、費用は実質的に全額国の負担とする、というのが今回の補正予算のストーリーだ。
◇   ◇
 これら「裏負担」を確保して確実にICT環境整備に活用するには、教育委員会がある程度の大枠を決め、自治体の財政当局に早期に働きかけ、財源を確保することが極めて重要だ。そして、整備計画を6月12日の締切までに文科省に提出する必要がある。
 国が負担する補助金約2000億円「学校情報通信技術環境整備事業補助金」で負担できるのが、電子黒板機能付きを含むデジタルテレビ(またはデジタルテレビ機能付き電子黒板※※)、教育用・校務用PC、1校あたり事業費400万円未満の校内LAN整備だ。この予算は、地方単独事業だけでなく、国庫補助事業の負担分にも活用することが可能だ。

 多額となる可能性のある校内LAN工事に関しては、1校について400万円未満の場合は「学校情報通信技術環境整備事業補助金」で、400万円以上の新設工事については「安全・安心な学校づくり交付金」で2分の1が補助される(従来は3分の1)。アンテナ工事については「安全・安心な学校づくり交付金」で2分の1が補助される。地方単独事業の財源とする予定であった地方債等を、追加公共事業等に関わる国庫補助に振り替えることにより、追加公共事業等の地方負担を実質的に軽減することもできる。地方負担分2分の1については、「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」等が適用される。

目標達成 必須条件ではない

  「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」は4本柱となっており、そのうちのひとつが「学校ICT環境整備事業」で、約2000億円だ。  なお、「単独事業」として考えられる例示として、文科省では「補正予算の国庫補助金負担に入っていない高等学校への電子情報ボード等の整備」や、「学校ICT活用サポート事業」などを挙げている。  

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【2009年06月06日号】


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