学びの文化を大切に【2月14日】
オルタナティブ教育理論的な学校方針でいくと、「自主・自立・自由」の立場から、禁止の禁止が打ち出され、自らの行動は自らが責任をという「責任内在」が前面に出、校則も規則も無くす。いわば昔の中国で、秦を倒し漢の高祖となった劉邦が旧都咸陽に入った折、定めた「法一章」のような、いかにも民主的な生徒指導になります。
理想としてはすばらしいですが、現実はなかなかうまくいかず、実際には子どもたちは安易な方向へ流されてしまう。でも、己の教育観としては持っていたいと思っています。だから私は、努めて「禁止」という表現を使わないようにしています。「禁止」は一つの規則を作ることで、「考えない子」を作ります。なぜだめなのか、人としてどうすべきかを「考えさせる子」にすることが大切と考えます。
20年以上も前のことですが、初めて七中に赴任した当時、七中は高槻を代表するくらい荒れていました。生徒指導を担当していた私は、「遅刻はするな! 君らの服装や髪型は何だ、出直してこい! 煙草は吸うな! 授業はさぼるな!」等、禁止の連続でした。その後落ち着きを取り戻すと、生徒の中から学生服自由化の声が上がり、生徒指導として職員会議で「生徒会で取り組み、生徒の主体性に任せるのが教育の筋だ」という論をはって自由化を推進しました。
矛盾するようですが、私はこのどちらも正しい指導方針と考えています。落ち着いた、生徒たちの自治の力が育っている学校で自由化を育て、荒れている、生徒会活動も機能していない学校で、規律を求めることは必要だと思うからです。現状をしっかりと認識しながら、互いの良い所を吸収して、弊害を排除する取り組みを、共通理解の下進めることが大切だと、拙い実践の中から確信しています。
加えて、学校や教室には学びの期待感が必要です。良い環境は学びの動機付けになります。
いずれにしても大切なことは、子どもたちへの深い愛情と、信頼関係、教職員の共通理解と継続性があってのことだと思います。(本連載は、前田校長が04年より教職員に向けて発信した「校長室通信」をまとめた著書「学校経営の金言・迷言・独り言〜全てを生かす校長室通信」より抜粋/城南中=072・673・4491)
【2013年2月18日号】
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