「申し分ない平和・体験学習」 知覧特攻平和会館と垂水漁業体験は『平和学習』『体験学習』としては申し分ない。平和学習と言えば、多くの人は沖縄、広島、長崎とイメージするが、終戦間際に20歳前後の若者が国を思い、亡くなっていった史実はとても勉強になる。漁業体験では『食育』『いのちの教育』の観点からとても有益な学習プログラム。汗して働くことの大切さ、人とのふれあいも現地の方と交流する中でできる貴重なものだ。(尼崎市立日新中学校教頭/庄司幸三)
「目的意識を持って見学に」 今回一番関心があったのは知覧。20歳に満たない隊員にとって、特攻という死に向き合う場所であった。残り少ない時間をどのように過ごしたかが染み入るように伝わってくる。ここにかつて飛行場があり、開聞岳が彼方に聳えるそんな景色の中で、自分の将来、家族や平和のことをじっくり考えさせたい。事前の学習を十分にさせながら目的意識をしっかり持たせて見学に臨ませたい。(神戸市立有馬中学校/芦田眞一)
「興味深い体験がセットに」 漁業体験は海辺の町に住まない限り、まず体験できない内容で、知覧特攻平和会館とセットで組みたい。餌やりは水温の関係でカンパチの食欲が振るわなかったが、5月以降であれば豪快に水しぶきを上げて餌に群がるのであろう。これに『かんぱちさばき体験』と『にぎり寿司体験』、さらに零下20℃の倉庫見学など、興味深い体験がセットされていて楽しそうだ。船上から見る桜島の雄姿もすばらしい。(倉敷市立玉島北中学校/山部賢治)
「自己実現のきっかけに」 桜島を背景に行う垂水の漁業体験は、自然の尊厳や豊かな恵みを実感することができる。中学生には難しいかもしれないが、自己実現に向けて1つのきっかけには十分に活用できるかもしれない。職業を題材にした学習にも活用できると考える。また、高千穂峡の絶景は自然の力を実感せざるを得ない。火山がもたらす地形の変化、滝の水の流れがすばらしいほどの渓谷を作り上げる。これらを前にすると、畏敬の念を持つことの意味合いがわかってくるだろう(神戸市立兵庫中学校/山本英生)
「神話の世界を実感」 高千穂峡は阿蘇山の噴火活動によって噴出した火砕流が幾重にも重なったものが、流水の作用によって浸食され深い渓谷となったもの。美しい光景を楽しみながら、理科の実地研修にも活用できるが、「記紀」に叙述されている神話の世界を実感する歴史学習が本命であろう。また、阿蘇は20年程前に何度か修学旅行で訪れたが、当時に比べると施設等がリニューアルされ随分きれいになった。(高槻市立第二中学校校長/鈴木匠)
「土地柄が醸し出す世界を楽しむ」 天岩戸神社の御神体である「天岩戸」にまつわる有名な神話や、太古の昔、阿蘇火山爆発で噴出した溶岩流でできた高千穂峡にまつわる昔話、地元に今なお受け継がれている風習など、高千穂町の土地柄が醸し出すものによって、現在の、また現実の世界とは違う世界に思いを馳せることができた。これも旅の一つの楽しさであり、生徒も楽しめることだろう。(京都精華女子中学高等学校副校長/森本敏郎)
「歴史・自然学習に」 天岩戸神社・高千穂神社については、歴史の、特に神話に興味を持っている生徒については、関心があるだろうが、多くの生徒は興味を持たないかもしれない。ただ、高千穂峡は美しいし、興味がわくと思うので、少人数ならばボート(真名井の滝付近)に乗ると喜ぶかもしれない。(亀岡市立別院中学校/本田勝美)
「食文化の伝承も教育の一つ」 高千穂での蘇食物語のもてなし料理に感動した。古代米を使ったうどん、お祝い料理煮しめ、とうきび飯と油味噌に高千穂の食文化の伝承も食教育の大切な一つ。給食に、学習に、生かしたい。神社は伊勢と同様に学習に入れるのは難しいかもしれないが、理科・自然学習には良い機会だと思う。また肥後熊本の郷土料理の多さに驚き、ソウルフードがあることをうらやましく思った。(神戸市立広陵小学校/市川初美)
「博物館は生徒のモチベーション向上に」 あいにくの天候で阿蘇山の火口を見ることはできなかった。その後、阿蘇火山博物館を見学したが、ここでは阿蘇山を理解する上で非常にわかりやすく、生徒のモチベーションをあげるためにはちょうど良い博物館であると考える。阿蘇山と博物館はセットで訪れたいポイントだ。(大淀町立大淀中学校/木田博万)
「九州の人情に脱帽」 熊本城は景観に加え、歴史や築城に関する様々な学びが展開され、印象に残る見学地であった。復元された本丸御殿のきらびやかさ、難攻不落といわれた築城の妙、随所に趣向を凝らした様々な仕掛け、歴代城主の政治能力など、事前学習を適切に行えば、収穫の多いメニューになると思った。質の高い修学旅行のキーワード『平和学習』『自然体験』『異文化体験』に加え、九州全体から感じる『人情』に脱帽した。(高槻市立城南中学校校長/前田勉)
「様々な可能性を発見」熊本城で特に目立ったのは、本丸御殿大広間の昭君之間と全国で例をみない地下通路・闇り通路だ。昭君之間は、金箔が貼りめぐらされて、室内は床の間や違い棚、付書院などを持つ書院造りになっており、豪華に感じられた。新幹線開業にあわせ熊本市内も所々が新しくなり意気込みが感じられた.視察を通して、九州の修学旅行で様々な可能性を見つけられたことが大きい。(京都市立蜂ケ岡中学校/内野正裕)
「城彩苑は中学生でも楽しめる」 名城の一つとして数えられる、さすが熊本城で、ボランティアガイドの方の説明もわかりやすく、歴史学習としてとても魅力的。城彩苑にある熊本城築城に際しての歴史資料館もすばらしかった。映画も中学生にも楽しめるものであった。お土産物屋もとても清潔感があり、中学生も安心して買物ができる場所である。(神戸市立兵庫中学校/白山誠也)
乗り心地の良い「さくら」に乗車 |
「復元修理の映像は授業で活用も」 熊本城本丸御殿の復元がすばらしく、大変見応えのある施設だと思った。復元修理に関する映像の内容も分かりやすくまとめられていて、技術・家庭科の授業でも活用できる内容だと思う。ボランティアガイドの方に、大変分かりやすく解説をしていただきながら見学ができ、勉強になった。生徒が見学する場合も必要だと思う。ガイドさんとの交流も生徒にとっては貴重な体験だろう。(岡山大学教育学部附属中学校/小山真二)
「広がる南九州への選択肢」 今までは、京阪神から九州を目指すとなると、新幹線で博多まで、そこから先はバスだったが、九州新幹線の全線開通で、南九州という選択肢が増えた。鹿児島までの交通手段は航空機だけだったが、時間のロスや料金がネックとなっていたので、団体集約列車の導入により交通費が抑えられるような対策があれば、さらに促進されると思う。受け入れ態勢の整備や体験学習への研究等も目覚ましく発展しており、今後はさらに南九州という選択肢が増えるだろう。(神戸市立大池中学校校長/市川伸之)
「豊富なアクセス方法は喜ばしい」 新大阪から鹿児島中央駅まで約4時間となったのは、関西からのアクセスとして魅力的だ。ただ生徒数が200人近い規模の学校についてはキャパの関係で問題が残る。現在航空機を利用しているが、利用校の増加を考えれば、アクセスの方法が多いにこしたことがないという意味では、九州新幹線の全線開通は喜ばしいことだ。乗り心地も良かった。(生駒市立大瀬中学校/戸室伸一)
「乗り心地の良さと速さに感動」 新幹線「さくら」の乗り心地は極めて良好である。揺れが少なく音も静か、そして何よりも速いのが良い。新大阪から鹿児島まで4時間もかからないということを実感。おそらく修学旅行で生徒たちが乗車すれば、この乗り心地と速さに感動するだろう。視察会を通して、もし、現在の行き先を変更する際には、平和学習・民泊体験学習・自然体験等を中心に考えていきたい。(高石市立高南中学校教頭/三宅泉)
【2011年4月18日号】