豊かな自然や独特の伝統文化を持ち、充実した平和学習が行えるなどの理由から修学旅行の行き先として人気の高い沖縄県。平成26年は約2500校・45万人以上が修学旅行で同県を訪れた。そんな沖縄の魅力を知ってもらおうと、沖縄県ならびに(一財)沖縄観光コンベンションビューロー(以下、OCVB)は学校関係者らを対象とした「沖縄修学旅行フェア2015」を昨年12月に東京と大阪で開催した。
脳科学の観点から修学旅行を読み解く茂木氏 |
東京会場のセミナーで講師を務めたのは、沖縄に魅了されて何度も訪れている脳科学者の茂木健一郎氏。「脳科学という観点から沖縄は自分を見つめ直すことができる場所」と語る。
「自分の個性や性格は、他者と関わりを通じて改めて認識できるが、それは前頭葉にミラーニューロンという他者の行動を通じて自分の行動を見つめ直す神経細胞があるため。沖縄は正に自分の鏡となり得る他者と出会える場所であり、こんな生き方があるのかといった日常とかけ離れた体験が今の自分を見つめ直す作用をもたらす」
型にはまならない
無限の可能性がある
茂木氏は、沖縄には従来の修学旅行の型にはまらない無限の可能性があり、体験を通じて心の中に芽生えた思いは修学旅行が終わってからも心の中で育ち続け、その後の生き方にまで大きな影響を与えるだろうと考える。
埼玉・大宮高校
7年連続沖縄へ
事例発表をする黒須教諭 |
東京会場では平成27年度を含めて7年連続で沖縄修学旅行を実施している埼玉県立大宮高等学校の事例が発表された。発表者の黒須秀人教諭は、「同じ沖縄であっても、学年の方針によって訪問場所や内容が大きく異なる」と話す。
今年度は昨年10月25日から3泊4日の行程で実施(約400名)。旅行業者には、(1)「生徒が主体的に行動できる」テーマ学習などを組み入れる、(2)可能な限りグレードの高い宿泊施設、(3)宿泊施設に全生徒が集まれる会場があること、(4)飛行機での一括輸送の4点を要望した。
「中でも生徒が主体的に行動することに関しては生徒の成長という観点からも強いこだわりがあった。事前学習の一環で、沖縄戦の体験者を招き平和講演会を行い、その司会や進行などもすべて生徒が主導し開催した」
琉球大の学生らと
沖縄の課題を議論
沖縄の歴史や平和学習についても、自ら進んで学べるように、(株)がちゆんが提供する「琉球大学キャリア共育プログラム」を取り入れた。生徒は、「平和」「米軍基地」「歴史」「環境問題」など沖縄が抱える課題について事前に調べ、琉球大学を訪問。テーマごとに大学生とディスカッションを重ね、生徒らは各自が考えた課題解決にむけた手段を提案した。
修旅後の生徒へのアンケートでも、修学旅行全体の満足度は5点満点中4・78点、琉球大学でのプログラムも4・25点と高評価で、生徒にとって充実した内容であったことが伺える。
商談会会場にも前回の沖縄修学旅行フェアの倍以上となる約70の事業者が出展。多くの学校関係者がブースを回り、観光協会や宿泊施設などの担当者から直接説明を聞く姿が見られた。
なお、OCVBは2月に「沖縄修学旅行説明会」を中部と九州で開催。▼中部=15日ホテルセンチュリー静岡、16日中日パレス▼九州=25日天神スカイホール、ANAクラウンプラザ熊本ニュースカイ、26日ベストウエスタン長崎、ソラリア西鉄ホテル鹿児島
【2016年2月15日号】