今年6月、京都府舞鶴市の舞鶴引揚記念館が収蔵・展示するシベリア抑留や引き揚げに関する資料570点が、「ユネスコ世界記憶遺産」の国内登録候補に決定した。同館は戦後70周年を迎える来年のリニューアルへ向け一旦休館し、平成27年10月にリニューアルオープンする。
第2次世界大戦の終結後、大陸からの引揚者を迎える10の引揚港の一つとして、舞鶴は最終船を迎えた昭和33年まで、13年で約66万人の引揚者と、1万柱を超える遺骨を受け入れた。
中でも捕虜となりシベリアで抑留されていた人達は、筆舌に尽くしがたい労苦の末に舞鶴へと引き揚げた。同館には、体験者が隠して持ち帰ったメモや日誌、留守家族の手紙、絵画などを収蔵。
改修では展示室を全面リニューアルし、「戦争」や「引き揚げ」を知らない世代にもわかりやすく理解してもらい「共感・感動」から「平和・未来」への願いを持ってもらうことをコンセプトに、映像や画像などを多用する。
さらに、平和学習の場として活用できるように、セミナールームを増築。
改修中は、同市の観光の拠点でもある「舞鶴赤レンガパーク」3号館内で展示を予定している(平成26年12月1日〜)。
12月より首都圏で舞鶴の魅力を紹介
また、同市は26年度下期から「来てーな舞鶴2014キャンペーン」を首都圏で展開し、舞鶴の食材を通じてその魅力を伝える。目玉は12月6日から14日まで東京タワーで開催される「舞鶴引揚記念館 特別企画展示〜平和のメッセージを舞鶴から世界へ〜」だ。
シベリア抑留中に使用された防寒着や飯ごうなどに直接触れられる「体験会」の他、6日・7日は「舞鶴かにコッペかに汁」を無料配布。
多々見良三市長は、「本市は最も長く引揚者を受け入れた地として、平和を発信する強い思いがある。この機会に舞鶴の魅力を多くの人に伝え、舞鶴ファンを増やしたい」と話す。
【2014年10月20日号】