伊勢志摩学生団体誘致委員会は、3月7日に三重テラスで「伊勢志摩教育旅行等最新情報交換会」を開催し、伊勢志摩地域の教育旅行素材や、伊勢志摩地域を訪れている学校の修学旅行のコースなどを説明した。
東海大・観光学部の太田孝教授が修学旅行と伊勢神宮の関係について講演 |
情報交換会には、教員、教育旅行担当エージェントらが参加。伊勢志摩地域は、伊勢神宮を中心に昭和戦前期に多くの修学旅行生が訪れた場所。1940年には約200万人の修学旅行生が伊勢神宮を訪れていたという。
同委員会では現在、「日本の伝統文化と再生・再利用の歴史」をテーマに伊勢神宮に学ぶ「環境学習」を3つの視点で提案している。
まずは、式年遷宮に学ぶ「壮大な再生・再利用の歴史〜エコロジーの原点〜」だ。20年に1度、社殿、御装束・神宝が全て造り替えられる「式年遷宮」が行われるが、旧社殿の解体された古材は廃棄されることなく、伊勢神宮の建築物を始め、全国の神社の修繕や建て替えなどに利用される。世界に先駆けて持続可能な社会を作ってきたとも言える。
また、伊勢神宮に学ぶ「日本古来の建築・伝統工芸文化と技術継承の歴史」と「稲作文化と和食文化」からは伝統文化の継承や、食育など幅広い学習が可能だ。
リアス式海岸に囲まれ 海の学習素材が豊富
伊勢志摩地域の学習素材は、広く海に面していることから海産物の食体験や海の生き物の生態系を知る体験もポイント。同委員会の小宮山健司委員長は、「伊勢神宮は地域ナンバー1の観光地ですが、リアス式海岸に囲まれた素晴らしい地域で、食材も豊富。海女さんは、現在も約1000人おり海女文化もみどころ」と述べる。
また、東海大学観光学部の太田孝教授が「伊勢神宮と修学旅行の歴史を考える」をテーマに、伊勢神宮を中心とした同地域の教育旅行(修学旅行)の変遷を語った。
太平洋戦争期、修学旅行は抑制されていたが、伊勢神宮への参拝は国によって強力にすすめられていたため、学校団体は伊勢神宮へ向かった。「軍国主義の時代にも子どもたちを楽しませたい」という思いがあったのではと太田教授は話す。
戦争に翻弄された伊勢神宮だが、太田教授は「宗教という捉え方ではなく、日本の原点として考えるべき」と述べ、日本文化にとって修学旅行の位置づけは大きく、時代によって形態は変わりながらも大切にされていることを強調した。
http://www.iseshima-kanko.jp/gakuyu/
【2014年3月17日号】