世界記憶遺産をめざすー舞鶴市

シベリア抑留と引き揚げの関係資料で

世界記憶遺産をめざすー舞鶴市
舞鶴を舞台にした音楽劇の演出家・望月竜平氏、
舞鶴引揚記念館・山下美晴館長、多々見良三・舞
鶴市長、資料の現地調査を行った東京女子大・黒
沢文貴教授と中央大・佐藤元英教授(左から)

 1992年より開始した「ユネスコ世界記憶遺産」登録。京都府舞鶴市では「シベリア抑留と引き揚げ関係資料(仮称)」の2015年登録を目指し、準備を開始している。

  「ユネスコ世界記憶遺産」の登録は、世界の重要な記憶遺産の保護と振興を目的としており、真正性と世界的な重要性が審査の基準だ。アンネ・フランクの日記(オランダ)、ベートーベンの手書きの楽譜(ドイツ)などがこれまで登録されており、日本では現在3件登録されている。

  舞鶴市は1901年の舞鶴鎮守府の開庁以来、日本海側で唯一の軍港都市として発展してきた。第二次世界大戦の敗戦に伴い、海外諸地域に残された約660万人の日本の軍人・軍属と民間人を帰国させる「引揚事業」の指定港となり、昭和30年7月以降33年までは唯一の引揚港となった。

  そのような経緯から、昭和63年には「舞鶴引揚記念館」を開館し、史実を後世に語り継いできた。舞鶴港での受け入れ総数は66万人以上。地理的な理由によりソ連領から約46万人を受け入れたことから、シベリア抑留体験者から多くの資料が寄贈されるなど、引揚体験者の心のより所でもある。

  世界記憶遺産の申請に際して「シベリア抑留体験の記録」「安否を気遣い帰還を願う日本の家族に関する資料」「引揚実施関連資料」の3つのポイントで約580点の候補資料を検討中だ。

  来年2月には東京タワーで資料の展示とシンポジウムを予定しており、多々見良三・舞鶴市長は「引揚を知らない世代にもアピールし、平和を願う本市の思いを感じてほしい」と語る。

「岸壁の母」

 京都府舞鶴市は、シベリア抑留と引き上げに関係した資料(舞鶴引揚記念館所蔵)について、平成27年のユネスコ世界遺産への登録を目指すことを表明した。

写真は左・「岸壁の母」のモデルと言われる端野いせさんが書いたはがき、右・収容所から隠して持ち帰ったメモ帳

 

 

 

【2013年12月2日号】

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