「伊勢神宮第62回式年遷宮」の今年、「お伊勢参らば お多賀へまいれお伊勢お多賀の子でござる」と伝えられている滋賀県の「多賀大社」では、伊勢神宮と共に詣でる「親子神様詣り」が行われている。琵琶湖周辺は、親子で楽しみながら歴史や伝統工芸など楽しみながら学べる地。今回、多賀大社が置かれる湖東地区と江戸時代に宿場町として栄えた湖南地区を取材した。(ライター/國吉圭介)
■湖東地区 多賀大社を参拝し 伝統工芸を体験
洋風建築の豊郷小学校 |
多賀大社に祀られている神は、イザナギノミコトとイザナミノミコトであり、その子アマテラスオオミカミを祀ってある伊勢神宮は、多賀の子であるとの言い伝えが古事記にある。昔から「親子神様詣り」が行われ、近年は日帰りで気軽に足を運べるようになった。
多賀大社からほど近く、南西に向かって中山道沿いに白鷺が羽を広げたような洋風建築が見える。昭和12年5月に落成した「豊郷小学校」だ。
当時、日本一と言われた近代的設備を持つ鉄筋2階建の校舎は、地元出身の古川鉄治郎が巨費を投じて完成させたもので、全館温水による暖房設備や120メートルの廊下など圧巻。平成16年に改築された新校舎は創立当時の佇まいを残す。
豊郷小よりさらに南、中山道沿いの愛荘町は、「びん細工手まり」が町のシンボル。びん細工手まりとは、球形のガラス瓶に大きな手鞠が入っているもので、江戸時代から伝わる伝統工芸品。「愛知(エチ)川びんてまりの館」では、歴史や製作工程がパネルやビデオで紹介され、夏休みには小学生を対象に体験学習会が行われている。
■湖南地区 街道の宿場町で 歴史に触れる
1巻が10m以上 |
湖南の野洲市には、明治5年創業の上田産業が「木工房まつや」として、ヒノキの端材を有効利用した「箸作り体験教室」を行っている。所要時間1時間ほどで、マイ箸が完成する。学校団体は、60名程度まで受け入れが可能。
野洲市の南に隣接する栗東市の六地蔵は、旧東海道の草津宿と石部宿の「間の宿(あいのしゅく)」として栄えた地。史跡「旧和中散本舗」は、江戸時代に「和中散」という道中薬を売る店として知られ、店舗や製薬場などは、国の重要文化財に指定されている。
湖南の「草津宿」は東海道と中山道の合流点。現在も保存される大名らが休泊した本陣は、その豪華なつくりに驚かされる。本陣から南に向かい、旧東海道と旧中山道合流「追分道標」の近くには、江戸築城の太田道灌を祖先に持つ太田家がある。現12代目当主が見せてくれた太田家絵図全7巻(尾形月山筆)は、1巻10メートルを超える長さの見事な絵巻であった。
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【2013年3月18日号】