富山県砺波平野の体験学習

豊かな自然、食、暮らしを体験 成長のフィールド「散居村」

 無数に点在する富山県・砺波平野の文化遺産「散居村(さんきょそん)」。庄川の自然美、豊かな食文化、人々の暮らしに支えられた子ども歌舞伎や夜空を彩る夜高祭り、生産日本一のチューリップが一年中楽しめる四季彩館…。教育旅行にも、この「ふるさと回帰」の風景が広がる富山県砺波市は、絶好のエリアとなりそうだ。(旅行ライター/中森康友)

体験学習

文化遺産が点在する砺波平野の「散居村」

 「散居村が成長のフィールドです」と掲げる修学旅行生向けの合言葉から、町の意気込みが伝わってくる。約7000軒といわれる散居村の古民家は、杉や欅の屋敷林(カイニョ)で囲まれ、どの家も玄関口が東向きの「アズマダチ」。白壁の重厚な母屋、土蔵の姿に圧倒される。
 近年は、改装により快適に過ごせる古民家再生の動きが広まり、若い世帯主の取り組みが話題になっているという。
 床の間と並ぶ金装飾の大仏壇の居間で、代々一族が集まって開く祝い事が旧家の誇り。「見学に来られる方がふえました。広くてお掃除が大変ですが満足しています」と江戸期建築の入道家の若奥さん。

北陸新幹線の開通を視野に

 3年後の北陸新幹線開通を目指して修学旅行や一般旅行の民泊受け入れが実現すれば、金沢、五箇山を結んだ多彩な旅程も広がりそうだ。

 砺波市内の宵闇で観た夜高祭りは、若者たちが3か月かけ手作りした高さ5メートルの巨大行灯が列をなし、動く姿は幻想と夢をかきたてる。沿道からお揃いのハッピを着た母娘がかけ声を送ると山車に上がった父親がニッコリ手を振る情景も微笑ましい。

子ども歌舞伎は全国的な人気に

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子ども歌舞伎の豪華な曳山

 同じ春の祭礼に登場する県無形文化財の「出町子ども歌舞伎曳山祭」は、毎年4月29日、30日に3台の江戸明治に造られた豪華な曳山の舞台で子どもたちが浄瑠璃に合わせて演じる姿が見られる。その見事な演技を観たさに全国からファンが集ってくる。

 大自然に恵まれた砺波市の自慢は一級河川、庄川の新緑、紅葉時期の遊覧船。小型ながら美味な鮎の塩焼き、集落の婦人たちの手による伝承の郷土料理が評判となり特別注文を受けるようになったそうだ。照れ屋で表に出たがらない"砺波人気質"を返上する気配だ。

  問合せ=0763・33・7666(砺波市観光協会)

 

 

【2012年7月16日号】

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