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上越市・十日町市「越後田舎体験」
田舎を伝え 心の交流を育む

首都圏の教員が体験

 平成10年から新潟県上越市・十日町市で行われている「越後田舎体験」。施設、地域、行政連携で学校団体等の受け入れを広域エリアで行っている。十分な体験と実績に満足したリピーター校も多く、今年度は100以上の団体を受け入れる予定だ。首都圏の教職員に様々な学習素材を体験してもらおうと、春休みに「越後田舎体験モニターツアー」が行われた。  
(主催/越後田舎体験推進協議会、新潟県上越市・十日町市)

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豪雪地の十日町市。奥に見える
建物が 「森の学校キョロロ」(上)
西洋かんじき「スノーシュー」 を
体験し (下)、 ブナ林まで歩く

 "つなぐ"をテーマに山・里・海で学習

 「越後田舎体験」は、「つなぐ」をテーマに、自然と自然、自然と人、人と人、それぞれがつながりを持って生きている、生かされていることを各種体験で伝えている。

 体験は、田植えなどの農作業や食材探しから始める"田舎料理体験"、自然の材料を使った"ものづくり体験"、日本海での"地引網体験"、豊かな環境下で行う"自然観察ハイキング"など。自然とそこに住む人たちすべてが学習の素材で、インストラクターもその土地の人が務める。

 これらの体験をさらに高めてくれる「民泊」も盛ん。4人前後で1つの家庭に宿泊し、農村生活を体験する。もちろん、旅館・ホテル・民宿などに宿泊し、農村生活を体験することもできる。

 十日町市の松代(まつだい)地区で民泊を受け入れている山岸公男さん宅を訪問した。同地区は現在9軒の農家が民泊を受け入れており、田植え、農作業、山菜取りなどが体験の中心だ。

 山岸さんは「子どもたちが大好きな焼肉を野外や庭で行うと、印象に残るようでとても感激して帰っていきます」と、何気ない交流や体験が、子どもたちにとって大きな影響を与えることを語ってくれた。山岸さん自身も子どもたちの別れの涙やお礼状に、やりがいを感じている。

四季を通じた体験 身近な里山を感じて

 四季を通じての体験が「越後田舎体験」の特徴。日本で一番積雪量が多い十日町市松之山では、3月末でも2m以上の雪が残る中を「スノーシュー」(西洋かんじき)をつけて、年間10万人以上が訪れる「美人林」と言われるブナの林まで探索した。ブナ林というと「遠く山奥の森」というイメージだが、ここは民家から近い「身近な里山の林」。虫取り、山菜取り、夜の自然観察、里山保全の実態など幅広い学習の地だ。

 その自然学習を助けてくれる施設の一つ「十日町市立里山科学館 越後松之山『森の学校』キョロロ」を見学。突如、山の中に鋼鉄で覆われたヘビが鎌首をもたげているような要塞のように見える建物が現れた。
十日町市に生息する魚、サンショウウオ、ゲンゴロウなどの水辺の生物が飼育展示され、施設内部も十分な学習素材だ。

 「越後田舎体験」は太平洋側とは異なった自然・文化体験が魅力で、子どもたちに"田舎を伝え、心の交流を育む"フィールドが待っている。

 

 

 

 

【2012年4月16日号】

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