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滞在型の修学旅行に

豊富な学習素材あふれる福岡

 修学旅行の素材が豊富で交通の便がよいものの、九州の玄関口としてそこにとどまらず通過することが多い福岡県。陸路で最初に入る北九州市は、歴史ある大工業都市であり、製鉄、炭坑などによる賑わい、そして、死の海、七色の煙と呼ばれた深刻な公害を市民・企業・行政が一体となって克服し、現在は地域をあげた環境先進都市として発展。全国でもトップクラスの質の高い環境学習を行うことができる。福岡県の「滞在できる修学旅行」の魅力を探った。

北九州で環境学習

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風力発電機の迫力を体感

 北九州市若松区、響灘に隣接する「北九州エコタウン」は、産業廃棄物処分跡地を利用して、現在20社以上が操業している。同市は、現代において環境を考える上で主要なテーマとなる「地球温暖化防止」「資源循環型社会の推進」「自然共生」の3つを組み合わせながら体験を通じた環境学習を提供している。

  「北九州エコタウン」での学習拠点は、「北九州エコタウンセンター」。エコタウン内ではリサイクルの現場が見られる。「自動車資源回収」の工場では、廃車となった自動車の解体現場を上から間近で見学できる。近くには1万世帯分の発電が可能な風力発電機が設置され、間近でその迫力を体感できるほか、「100万本植樹プロジェクト」に足跡を残すことができるドングリの苗の植樹体験学習も人気(体験は時期による)。

  さらに、エコタウンを核に、節水・節電に徹底的にこだわったトイレの便器を製造する「TOTO」、無添加石けんを製造する「シャボン玉石けん」などの各種工場を見学し、各企業の環境保全に対する取り組みを学ぶことができる。

  修学旅行を実施したある学校の引率教員は「生徒たちは、自分の生活がそのまま環境につながることが沢山あることを感じてくれた」と話していたそうだ。

  また、西日本最大級の博物館「いのちのたび博物館(北九州市立自然史・歴史博物館)」も見逃せない。地球誕生から現代にいたる46億年の自然と人間の歩みを自然史ゾーンと歴史ゾーンで紹介している。

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北九州エコタウン内の展示場

  社会科、理科などとの組み合わせもでき、環境学習と併せて十分な時間をとって見学すると良いだろう。

ミュージアムで学習

 福岡県での修学旅行の適地は北九州市だけではない。福岡市内にも見どころは点在している。プロ野球チーム・福岡ソフトバンクホークスの本拠地であるヤフードーム周辺には、「王貞治ベースボールミュージアム」(ヤフードーム内)や「福岡市民防災センター」「ロボスクエア」「福岡タワー」など、班別自主研修にふさわしいエリアだ。

  福岡市から南下していくと太宰府天満宮とアクセストンネルでつながる日本で4番目の国立博物館である「九州国立博物館」がある。ここは、アジア諸国と日本の交流の歴史をひも解く博物館として広く利用されている。作品の修復作業を行っている場所をガラス越しに見学するバックヤード見学を実施するなど学校利用に対して積極的だ。

  筑前町に近年オープンした「筑前町立大刀洗平和記念館」では、かつて東洋一と謳われた陸軍の航空拠点である大刀洗飛行場の歴史と、悲しい史実が紹介されている。平和学習の地として利用が増えている。

  そこからさらに南下した九州一の大河である筑後川が悠々と流れる久留米市は、久留米絣をはじめとしたものづくりの街。今回はスニーカーを生産する「ムーンスター」の工場を見学。足袋の製造から始まった同社の今と昔を知ることができる。自動化されたなかでも、丁寧な手作業が残っていた。
問合せ=092・643・3429(福岡県国際経済観光課)

 

 

【2012年3月19日号】

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