平成17年、四国初の50万都市となった松山市は、NHKドラマ「坂の上の雲」の舞台としても有名だ。そこで今回、小説の主人公である子規と秋山兄弟ゆかりのスポットを中心に、松山市の魅力を取材した。(レポート/須田佳美)
古くからの天守が現存する松山城 |
まずは、松山の海の玄関として万葉の時代から賑わってきた三津浜地区からスタートした。
「坂の上の雲」に登場する人物も利用した港がある歴史ある町だ。500年を経て、今も現役の渡し船「三津の渡し」に乗り、三津浜地区へ。明治・大正のレトロな建物が今も残る街を歩き、国の登録有形文化財(建造物)の「鯛や」で鯛メシ膳を食べた(2階は三津浜資料館)。
そこから電車で道後温泉駅に向かったが、乗り換えの古町駅で坊ちゃん列車にも乗り、レトロな雰囲気を味わった。
続いて、正岡子規の世界を通して松山の伝統文化や歴史が学べる「子規記念博物館」へ。館内には子規と漱石が過ごした松山の下宿"愚陀佛庵"の一部が復元されていた。
そして、3000年の歴史を誇る道後温泉のシンボルと言えば、明治27年に建造された木造本館だ。壮大な三層楼の建物だが、平成6年には温泉施設としては初の国の重要文化財に指定された。
俳句とハイクで街歩きを体験
2日目は街歩きを意味する「ハイク」に、文学の「俳句」を盛り込んだ「松山はいく」を体験。一遍上人生誕地である宝厳寺、四国八十八箇所霊場・51番札所の石手寺などパワースポットを中心に巡り、松山城や松山兄弟生誕地、萬翠荘を見学した。
歴史が学べる子規記念博物館 |
そして安藤忠雄氏が設計した「坂の上の雲ミュージアム」へ。企画展や小説の魅力を伝える様々な展示が見られる。
松山市は一般観光だけでなく、修学旅行誘致にも力を注いでおり、既に50校近い学校が訪れている。取材中に出会った多くの生徒たちが「道後温泉の散策が楽しい」と話してくれた。
市・商店街の連携で安全を確保
修学旅行などの教育旅行では、児童・生徒の安全確保も候補地の検討材料として重要となるが、松山市では、夜の外出で生徒たちが安心して歩けるように、市の職員や商店街のスタッフが通りの見回りを行っており、市を挙げて見守る体制が整っている。
漱石も訪れた道後温泉本館 |
広島から船で渡り文化・歴史を学習
また、広島から松山への船のルートが確立されているのも好条件。広島で平和学習等をした後に船で松山に渡り、文化・歴史を学ぶというコースが多いそうだ。
体験メニューも懐石料理を食べながら箸の作法や料理の学習、みかんの収穫体験、元オリンピック選手が教えるスノーボード体験など差別化が図られていた。
問合せ=089・948・6556(松山市観光産業振興課)
【2011年12月19日号】