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台湾で活躍した日本人の功績を学ぶ旅
真の国際感覚を養う

台湾修学旅行セミナー 主催/全国修学旅行研究協会

 公益財団法人全国修学旅行研究協会(全修協)は、10月22日に「台湾修学旅行セミナー」(共催:台湾観光協会)を開催。台湾では、日本が統治していた時代に水利事業に尽くした八田與一氏が「台湾農業の恩人」として尊敬されている。同協会では、八田氏ら台湾で活躍する日本人の国際貢献を学ぶ新しい修学旅行を提案した。

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台湾の日本人学校で
勤務経験のある古川勝三氏

  台湾は、東日本大震災に際して、200億円を超える義援金や、被災地から1000人を台湾に招待する「台湾希望の旅」を実施するなど、親日的な国。これには、八田氏の功績が大きいという。

台湾農業の恩人 八田與一に学ぶ

  セミナーでは、愛媛県松山市で校長を務めた経験を持つ古川勝三氏が講演。古川氏は1980年から3年間、台湾の高雄日本人学校に勤務した際に、八田氏の多大なる功績を知った。

  八田氏は台湾総督府の技師として活躍し、洪水、干ばつ、塩害に悩む嘉南平野の灌漑工事に携わった。香川県ほどの広さを水田にするため、烏山頭ダムを設置する。そして60万人の生活を一変させ、現在に至るまで「嘉南大しゅうの父」としてその名を知られてきた。

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全国から教員が参加

  この功績を知った古川氏は、21世紀を担う若者たちに、損得ではなく善悪で物事を考えること、自分の国の文化や歴史を理解し日本に誇りを持つこと、自己選択・自己決定・自己責任のできる人になること、長幼の序を大切にすることを願い、「“飲水思源”という言葉があります。感動したり感激することも良いですが、恩ある人を絶対に忘れず、“感謝”をしなければなりません」と講演を締めくくった。

台湾の大学で 学ぶ中国語

  2010年度の台湾への修学旅行は1022校中58校(全修協調べ)。今後の台湾修学旅行の観点として全修協は、(1)日本人の先人が行った「業績・国際貢献」を正しく理解し、次世代を担う若者が真の国際感覚を身につける(2)近未来の世界情勢を先取りし、「中国語能力習得のため台湾の大学へ進学」という選択肢の情報収集の2つを提案した。

  八田氏が携った「烏山頭ダム」へは、台北から台湾高速鉄道で約1時間40分。日帰りも可能だが、台南に宿泊してダムへ行き、学校や企業を訪問すると効果的だ。

【2011年11月21日号】