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教育旅行・体験学習特集

安全な海外旅行を
全国修学旅行研究協会

  新型インフルエンザの流行により、海外修学旅行における安全対策や危機管理が、ますます重要なものとなっている。そうした中、(財)全国修学旅行研究協会は、7月4日、東京・秋葉原の富士ソフト アキバプラザで、教職員を対象とした「海外教育旅行安全対策セミナー」を開催した。

新型インフルエンザには冷静な対応を

置き引きなどの
財産犯罪に注意

「海外旅行における安全対策・危機管理」をテーマに講演を行ったのは、海外邦人安全協会理事でロングステイ財団理事の福永佳津子氏。福永氏によると、海外での事件事故の約6割が窃盗や強盗などの財産犯罪にあたる。修学旅行で生徒が巻き込まれる可能性が高いのも、財産犯罪となるので、旅行の前にスリや置き引きに関する注意を促す必要があるという。
 そこで、自分の荷物を守るために、貴重品を分散させたり、荷物を体に密着させることも大切だが、そうやって警戒することで盗みにくい相手と思わせることが大事。また、海外で日本語が通じる相手に出会うと、気を許してしまうが、相手が日本人であっても油断は禁物とのこと。不用意に近づいてくる相手に対しては気をつけるようにと注意を呼びかけた。

間違った情報に
振り回されない

 日本旅行医学会専務理事の篠塚規氏は、「海外旅行中の健康管理―旅行医学の立場から」をテーマに講演。新型インフルエンザに関して、様々な間違った知識が広まっていることを指摘した。

 「新型インフルエンザは、SARSやH5N1鳥インフルエンザと同様に恐い病気である」、「新型インフルエンザが発生した地域に行くのは控えることが望ましい」というのは全て誤った情報。海外では科学的根拠に基づいた対応がなされたのに対し、日本だけが冷静さを欠いたものとなり、死亡率が高い強毒ウイルスが襲来した時のような対応となってしまった。新型インフルエンザに対しては、基礎免疫力を強化・維持することが大事で、十分な食事や睡眠、そしてサプリメントや適度な運動で深刻な事態に陥るのを防げるという。

風評被害を恐れて
修学旅行が中止に

 「海外旅行の安全対策・危機管理―旅行会社の立場から」をテーマに講演を行ったのは、近畿日本ツーリスト叶齧ア取締役の越智良典氏。その国に渡航して問題ないかどうかは、外務省の渡航情報に完全準拠するが、今回の新型インフルエンザで渡航制限が設けられたのはメキシコだけであった。これはウイルスの毒性具合や医療体制の充実度から安全性を判断したもので、医療体制が充実した国なら渡航に関しては問題ないということである。

 また、文部科学省が中止を要請していないのに、海外や国内の修学旅行を中止する学校も多いが、これは風評を恐れるためで、マスコミの過剰な報道のあり方に問題があったと指摘した。

【2009年7月18日号】