わたしの食と健康H
活力の秘訣は、ゆで大豆と鰯
俳優 小松方正中さん
今年で俳優生活46年という小松方正さんは、長野県松本市の出身。糖尿病から腎臓透析というハンデを担いながら、テレビ、CM出演、ナレーション、講演などに、意欲的にトライしている。
役者稼業は人いちばいの体力と精神力が必要だが、それだけに、必要な栄養素はきちっと摂らなければならない。ところが、壮年の頃、夜更かしと暴飲暴食から糖尿病を患い、白内障、脳卒中、腎臓病、すべてを経験。そこで、単にエネルギーを抑えるだけでなく、十分な栄養も摂らなければならないから難しい。現在は透析6年目だが、闘病生活中とは思えないほどの元気さだ。秘密は何といっても夫人手づくりの食の智恵。三温糖、天塩、減塩醤油、かつお節、野菜どっさりに魚。肉はゴボウと一緒に炊いたり、肉じゃが程度で、ほとんど食べない。それに、1日3食規則正しい食事のリズムだ。朝はシーチキン、チーズ、玉葱、トマトを挟んだホットサンドにフルーツ。リンゴの季節は必ずリンゴも。昼はうどんかスパゲティ。もちろん、野菜たっぷりに味自慢ドレッシングも。1日置きに透析に通うので病院での昼食はおかゆ。夕食は御飯に主菜を3〜4品、魚料理が多い。箸休めには、ちりめんじゃこ、ひじき、ことに鰯を多用し、梅干しと煮込んだものを常備している。まんべんなく何でも食べるために、ばらつきは夕食でコントロールする。
それに、大豆をよく食べる。いつも茹で大豆を冷蔵庫に保存して、じゃこと混ぜたり、五目煮や大根おろしで和える。自家製ドレッシングをかけるのもおいしい。高たんぱく、低カロリー、ビタミン、ミネラルが揃った小松家の健康食だ。しかし、要注意はおやつ。ドライフルーツを用意してあるが、甘い物好きなので油断できない。到来物のお菓子の隠し場所が苦労の種である。
懐かしい食べ物は子供の頃の信州の味だ。野沢菜、ソバ、わさび、さなぎ。ことに、おやきの素朴な味は忘れがたい。地粉を練って、油炒めした野沢菜、あずき餡、かぼちゃなどを包んでまるめ、網で焼いたものだが、今でも講演に行った時など、土産に持ち帰る思い出の郷土食である。
(教育家庭新聞99年9月11日号)
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