素朴な味や香り生かしたものを
プロゴルファー 下倉五十三さん
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「姉の住まいからゴルフ練習場が見えたんです。それで興味を持って」初めてクラブを握ったのが19歳の時。1967年プロテスト合格、70年日本女子プロ選手権34位、89年日本女子プロ選手権38位、日本女子オープン39位の好成績を修め、現在ゴルフ練習場のスクールで指導をしている下倉五十三さん。自分のゴルフは月1回か2回しかできないほどの多忙な毎日を送っている。
見た目よりはるかにハードなゴルフは、長丁場を乗り切るだけのスタミナを要する。そこで日頃の食生活について尋ねてみた。「旬の物を食べたい時に、食べたいだけ食べます。身体が満足すると自然と量が減ってくるので特別な制限はしていません」同じ食べ物が3日続いて御主人に呆れられた事も。「ただ身体がほしがる物は魚や野菜がほとんどなので、栄養が偏ったり体重が増える事はないんです」嗜好品やアルコールを好まず、日本茶をよく飲む。それだけでなく食事と健康な身体との繋がりを大切な事ととらえ、定期的な歯のケアや年に1回の人間ドッグは欠かさず行っているという。
旬の物を身体がほしがる。これは幼い頃の食生活が影響しているようだ。「母に連れられて畑に行くとキュウリやトマトをもぎって食べさせてくれるんです。あの味を今も求めているのかもしれませんね」手をかけた料理より素材の味や香りをいかした物が好きというのも頷ける。そのほかにも母親の煮物や混ぜご飯が忘れられないと顔をほころばせる。「幼い頃父を亡くし母が一人で育ててくれた。忙しくても母は必ず家庭料理を作ってくれたました。ご飯を作る時間と愛情をかけてくれたのだと思います。今こうして健康でいられるのは母が残してくれた唯一の財産のおかげなのかもしれません」。
「今の仕事がいつまで続けられるのかという不安はありますが、私の食生活は特に何をしなくても健康を維持していけると思っています」愛情豊かな食の思い出は心の支えであり、溌剌とした下倉さんの活同源だ。
(教育家庭新聞2000年5月20日号)
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