環境に取り組む企業P 製品の循環型経営へ
「特徴ステッカー」に92%が関心
松下電器産業株式会社
ナショナル、パナソニックのブランドで知られる松下電器産業株式会社。テレビ、ラジオ、パソコンから冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど家庭用電化製品の全てを製造発売している世界のトップメーカー。連結年間売上げ8兆円。このマンモス企業の環境対策は、家電業界をリードする代表選手の展開でもある。
社内の組織と主な動きを見ると、環境庁の生まれる1年前の1970年に環境管理室が社内に誕生、国レベルの対応より早く環境対策がスタートしている。91年松下環境憲章制定、松下グループ環境監査開始。96年ISO14001取得計画発表(98年度末までに完了)、97年製品アセスメントバージョン4制定、環境本部発足。98年「地球を愛する市民活動」開始。99年グリーン調達基準書発表、環境審査室発足と、この10年間で革新的推進をとげている。
まず環境保全の推進体制として、社長を議長とする環境会議を年2回開催、各部門の経営者レベルの責任者と16社の関係会社社長が参加して、方針の徹底と実施状況報告が厳密に行われる。環境マネージメントシステムの国際規格ISO14001の認証取得は、本年3月末の98年度中に国内100、海外121合計221の全製造事業所で目標通り取得を完了しているが、200を超える取得は世界でも同社が最初、また中国では国全体で100の取得に対して同社が31を取得、人民日報が大きく報道している。短期間で目標を達成できたのは「強力な組織の支援があって実現したもの」だという。
家電リサイクル法の制定によって2001年からは不用になった家電製品は販売店が回収、製造元のメーカーに送られメーカーはこれを分別再資源化して素材メーカーに購入してもらう「製品の循環型経営」が本格化する。「今までの会社は材料を買って製品化し、お客様に満足して頂ければそれで良かった。つまり動脈だけだったが、これからはリサイクルするための静脈が必要」(吉村氏)そのためにリサイクルしやすい高循環型商品づくりを全社的展開をしている。SAVE【省エネルギー】CLEAN【環境負荷化学物質の削減】RECYCLE【資源リサイクル】に対応した製品には、環境に配慮した具体的内容(環境品質・環境性能)を明示した・特徴ステッカー・を添付していく。99年9月末までに22品目113機種に添付され、消費者調査では新規・買い替え時に参考にすると答えた人が92%に上り、関心の高さを示している。
同社の環境対策は多岐にわたっており、限られた紙面で全容は紹介できないが、最近の成果・トピックスを拾ってみると〇キャビネットにマグネシュウム合金採用の21型テレビ開発(プラスチックなど従来樹脂が20%に対して90%のリサイクル率、今後他製品にも拡大予想)〇塩ビフリー電線の率先採用(専門メーカーと共同開発したハロゲン化合物を含まない電線を他社に先駆けて採用)〇「地球を愛する市民活動」開始(松下電器の社員・家族14万人の環境活動)〇環境会計の導入(環境対策に投入された設備投資額と経費を明確にするもの)などがある。
(教育家庭新聞99年11月27日号)
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