環境に取り組む企業J

具体的な4つの環境目標
プラスチック大幅減など実行

資生堂

 

 化粧品のトップメーカー資生堂は、「人々の美と健康に貢献」するために、1872年の創業以来127年、ひたすら女性の「美」を探求、女性文化史形成の一翼を担ってきた。
 売上高6209億円(1998年3月期)、日本を含む全世界60か国の販売拠点、9の海外工場、73の関係会社、グループ従業員2万2000人の同社は、今、環境対策でも、新しい企業文化を創造する、勇気ある挑戦をはじめている。
 資生堂グループの環境対策は、1991年の「新企業理念」、1992年の「資生堂エコポリシー」、1997年の「企業行動宣言−THE SHISEIDO WAY」の3方針によって明確に示されている。

 行動指針である資生堂エコポリシーは、
 「資生堂は全ての事業活動において地球環境の保全に努めるため1生態系に配慮し、資源・エネルギーを大切に利用します。2環境に負担をかけない新技術の開発と応用を促進します。3一人ひとりの環境保護意識の向上を図ります。4地域や社会との連携に努めます。」
である。

 昨年の1月、資生堂は、社会的に大きな話題を提供した。
 「環境報告書97」の中で、21世紀初頭に達成を目指す、具体的な環境目標4項目を明らかにしたのである。
 (商品について)2000年度までに、容器包装におけるポリ塩化ビニール類の使用を全廃。2000年度までに、工場の産業廃棄物のリサイクル率を60%に高め、最終処分量を1990年度対比50%削減。
 (地域温暖化ガスについて)2010年度までに、工場での二酸化炭素排出量を、1990年度対比、原単位で15%削減。
 (環境マネジメントシステムについて)ISO14001の認証を国内工場1998年度、海外工場2000年度までに取得。この報告書による社会との約束は反響を呼び、環境アクションプラン大賞特別賞を受賞している。

 「国内工場のISO14001取得はこの3月に達成しましたが、あとの3項目は本当に国の基準より高い目標です。当時責任者だった田原専務の・やる以上高い目標で・の決断で決まったものです。」と松井隆幸広報室員は目を輝かす。環境対策へ取り組んでから約10年の同社だが、走り出してからはエンジンフル回転でばく進中だ。
 環境問題を社内的に推進する「地球共生委員会」は池田専務を委員長に各事業本部責任者で構成され、毎月1回精力的に活動。また監査役が環境対策をチェックしているのも特長のひとつ。

 目に見える具体的取り組みでは、
 1プラスチックの使用量を72%削減した詰め替え用「スーパーマイルドシャンプー、リンス」の発売。2再生ポリプロピレンを使用した「ボルティ ソリッドジェルウオーター」容器を業界で初めて開発。3店頭で美容アドバイスなどを行うビューティーコンサルタントのコスチュームにPETボトルのリサイクル繊維を採用=写真
 などほんの一例。
 「21世紀グローバル・1」を目指す資生堂の、環境対策戦が始まっている。

(99年5月15日号)