環境に取り組む企業I

ガラス瓶からタイルを再生

サントリー


 3月24日に開通した東京都港区赤坂見付交差点の地下歩道は毎時5分間照明が消され、天井に夜空の星が音楽と共に浮き上がり忙しい都民に一刻の憩いを与えている。この歩道にサントリー(株)からガラス再生タイル・ブロック162トン(ワイン瓶約36万本に相当)が寄贈されている。
 今年、創業100年を迎える酒類、食品、医薬品などの総合メーカー「サントリー(株)」の東京支社は、この歩道出口D2の真ん前にある。「ガラス瓶を日本一利用している当社は、再生、リサイクル化には真剣です。ガラスびん再生タイル・ブロックも94年から商品化されています。その建材の良さを多くの方に実感してもらおうと環境室が寄贈を提案しました。」と、生活環境部畑隆雄環境室長は明るい表情で説明してくれる。

 ウイスキー、ビール、ワインを始めとして同社の製品は水、大麦など自然の恵みに支えられているだけに、自然環境保護についても創業以来100年にわたって取り組んでいる。1923年日本初のウイスキー蒸留所を京都郊外・山崎峡に、73年南アルプス甲斐駒ケ岳のふもと白州に第二蒸留所を建設したのも、共に天下の名水を得られたから、そしてその自然を大切に守っている。
 89年、創業90周年を迎えて、これまでの企業理念を「人と自然と響きあう」という言葉にまとめ「響」という文字をデザインしたコーポレートマークを制定。人々の生活文化への貢献とともに、環境保全活動にも、積極的に取り組む姿勢を明確にした。
 サントリー環境基本方針は「基本理念」と次の6項目からなる「行動指針」。◎省資源・省エネルギー◎廃棄物の減量化・再資源化◎商品・サービスの開発提供には環境・資源に十分配慮◎容器包装のリサイクル化◎自然環境の保護◎環境意識の向上、社会活動の参画。それぞれの促進・徹底を図るとしている。

 企業活動とともに社員への啓蒙にも熱心だ。昨年の5月「私たちの地球を大切に」・Today Birds, Tomorrow Man・と題する小冊子が全サントリーグループ社員と家族に配布された。サントリーの環境への取り組みの説明から、個人でできる環境対策をわかりやすいイラスト入りで説明。「できることからはじめましょう」と訴えている。
 リサイクル製品の発売も進んでいる。新発売の健康赤ワイン「彩食健美」はグリーンボトルをすべてガラスびんカレット100%でつくった「エコロジーボトル」に切り替える第1号製品。パイオニアがスピーカーに続いて4月に発売するオーディオ製品「ピュアモルトシリーズ」のCDプレーヤーとプリメインアンプはサントリー蒸留所で50年間ウイスキー熟成に使われた樽材(樹齢150年以上のオーク材)を活用したもの。
 問合せはрO120・139310同社お客様相談室へ。

(教育家庭新聞99年4月17日号)