環境に取り組む企業E
自動車業界の多岐にわたる対策
マツダ
自動車メーカーマツダ(株)広報部は、98年9月に「Mazda Environmental Action」(自然との調和をめざして)と題するA4版35頁の小冊子を発行した。4輪車だけで7億台の車社会において、環境に関わりの大きい「自動車」を、地域環境、地球環境、資源枯渇の3問題に整理、項目ごとに対策と問題点を解説している。「どの会社も必死に取り組んでいることで内容は当社だけの問題ではない」(広報室主幹佐藤一郎氏)。そこで、今回は「マツダの例で見る自動車業界の環境対策」とした。
<マツダの環境理念>
私たちはクルマづくりにおいて自然と調和を図りながら、地球環境の保護と豊かな社会づく りに挑戦し続けます
<環境問題の認識>
地域環境(大気汚染、水・土地の汚染、騒音、臭気)
地球環境(温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、森林の消失、砂漠化)
資源枯渇(化石燃料資源の浪費)
<解決への挑戦>
◎排出ガスの浄化=1970年にアメリカ連邦議会で排出ガス規制「マスキー法」が可決され、以来各社のゼロ・エミッションに向けての努力が続いている。長期的には化石燃料に代わるクリーンエネルギーの研究開発に取り組んでいる。
◎燃費向上=既存エンジンの燃費向上を図る「リーンバーンエンジン」を開発、3元触媒とともに1994年「ファミリア」に採用。
◎ダイリューテッドバーンエンジン=全域にわたるエンジンの高出力を実現しながら、燃費を向上し、あわせてNOxの排出を低減したシンプルで信頼性の高い新燃焼システム。カペラとファミリアに搭載。
◎直噴成層ガソリンエンジン=燃料を直接エンジンの燃焼室に噴射する方式でCO2排出量を30%以上低減する。
◎ミラーサイクルエンジン=同じ出力を得るのに要するエンジン排気量を小さくでき、エンジン本体が自己消費するエネルギーも少なくなっている根っからの環境対応型。
<代替燃料>
◎天然ガス自動車=1994年、タイタンCNGトラックで市場導入、気体燃料であるため燃料容器が大きくなる。航続距離を延ばすことが課題。
◎LPG(液化天然ガス)自動車=すでにタクシー用燃料として広く使われているため供給スタンドの整備が容易。大型エンジンの開発が課題。
◎メタノール自動車=資源量豊富が利点だが、ガソリン比発熱量が2分の1と低い。
<将来に>
◎EV(電気自動車)=1998年「ボンゴEV」で市場導入
◎ハイブリッド車=研究中◎水素自動車=1991年に初代試作車を発表、95年から路上走行テスト実施。
◎FCEV(燃料電池電気自動車)=燃料電池は水素と酸素を化学的に反応させる新しいタイプの発電装置で次世代動力源の本命。
以上エンジンを中心にした対策だが、このほかリサイクル、工場環境、社会貢献問題を含めて、自動車産業の環境対策は多岐にわたり、その成果は着実に出ているようだ。
(教育家庭新聞98年12月12日号)