電気事業の地球温暖化対策
CO2排出量少ない原子力や新エネに注目
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地球環境問題を考えた時にまず重大な問題として上がるのが地球温暖化である。空気中の二酸化炭素(CO2)をはじめ、メタン、フロンガス等の増加により、それらが太陽からのエネルギーを地表に通過させる一方、地表から出る赤外線を途中で吸収して宇宙空間に熱が逃げるのを妨げてしまうので、地球全体が温室状態になってしまうというもの。産業の発展とともに空気中のCO2の濃度は上昇しており、地球温暖化の大きな要因と言われている。現在、CO2の抑制活動が世界中であらゆる面から行われているが、日本の電気事業ではこの温暖化対策に早期から取り組んでおり、1996年11月には「電気事業における環境行動計画」を策定・公表し、毎年計画に関するチェックとレビュー(再検討)を行っている。
CO2出さない原子力
日本のCO2排出量の9割以上は、石油・石炭等の化石燃料の消費によるものである。このため日本の電気事業でも、石油に代わる非化石エネルギーの利用拡大を図っている。発電時にCO2を全く発生しない原子力発電や、メタンを主成分とした液化天然ガス(LNG)火力発電の導入・拡充、さらに火力発電の発電効率の向上が温暖化防止策として主に行われている。またクリーンエネルギーとして注目されている太陽光発電、風力発電は環境面からも開発を進めているが、天候の影響を受けやすいことやコスト低減などまだまだ課題も多い。
原子力発電は発電所の建設から運用、燃料の採掘などすべての段階を総合して考えた場合のCO2排出量が他のエネルギーと比べて格段に少ない。発電電力量あたりのCO2排出量を比較してみると、石炭、石油、LNGの順になっており、化石燃料を使用しない原子力、水力、新エネルギーは、設備・運用面のCO2排出量も小さい。このようにエネルギーの安定確保の面だけでなく環境面からも原子力を中心としたバランスのとれた電源構成が必要となる。
電気事業のCO2抑制対策
このような取り組みの結果、1970年代の石油ショック以降、日本の使用電力量は約3倍に増加したにもかかわらず、CO2の排出量は約2倍に抑えられている。使用電力量1kWhあたりのCO2排出量も約40%低減。その中でも原子力の導入によるCO2抑制効果は日本全体のCO2排出量の約20%に相当する。電気事業では、2010年度に、1990年度に比べ1KWhあたりさらに20%程度のCO2低減を目標にしており、そのための対策として、原子力、LNG火力などのより積極的な導入・拡充や発電効率の向上とともに自然エネルギー発電の開発・普及に積極的に取り組んでいる。またどうしても、電力需要の伸びに応じてCO2総排出量は増加してしまうため、省エネルギーをさらに進めていくことも必要となっている。
(教育家庭新聞1999年11月27日号)
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