エネルギー講座 第7回

プルマーサル計画
2010年までに16〜18基の原子炉で実施

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 原子力発電の燃料となっているウラン燃料はリサイクルできる大切な資源であり、エネルギー資源の80%以上を輸入に頼る日本にとってはなくてはならないものだ。原子力発電はエネルギーを安定確保する上でも、地球温暖化防止のためにも、重要な役割を果たしている。
 発電の際にウラン燃料が燃えると原子炉内ではプルトニウムが生成される。このプルトニウムを取り出し、発電に利用することをプルサーマルといい、現在の計画としては今年から順次スタートし、2010年までに電力会社各社で、全国の16〜18基の原子炉でプルサーマルを実施していく予定になっている。

プルサーマルとは
 プルトニウムとウランを酸化物の形で混合した燃料をMOX燃料(モックス燃料・混合酸化物燃料)といい、このMOX燃料を原子力発電で利用していくことが、プルサーマル計画である。
 現在の原子力発電においてもその発電量の約30%は運転中に生まれたプルトニウムの燃焼によるものだが、MOX燃料を使用すると従来のウラン燃料と比べて、燃料のリサイクル率がより高まることになる。一方、核物質として厳しい規制がとられているプルトニウムの使用率が高まることからその危険性が心配されるが、原子炉内の燃料のうちMOX燃料が3分の1程度までの範囲ではウラン燃料の使用時と大差がなく、原子炉の安全性は確保できる。

MOX燃料
 ウラン燃料は、天然ウランのうち燃えやすいウラン235の割合を少し増やした濃縮ウランを使うが、MOX燃料は、このウラン235を使う代わりにプルトニウムを天然ウランや濃縮した後に残るウランに混ぜて使うもの。ウラン燃料に比べて加工費が割高となるが、リサイクル燃料なので採鉱や濃縮などの過程を省くことができ、燃料費の占める割合が小さい原子力発電においては電気料金に与える影響は小さい。
 原子力発電で燃やした燃料を再処理して再利用するので、それらを利用しない場合に比べてウランの利用効率が高まり、ウラン資源を数割程度節約できる。また再処理を行うことで、発生する高レベル放射性廃棄物の量を少なくすることもできる。
 このプルサーマルは、海外では30年以上も前から実用化されており、フランス、ドイツ、ベルギーなど、欧州を中心とする各国で1700体以上のMOX燃料が問題なく使用されている。
(教育家庭新聞1999年9月25日号)