エネルギー講座 第6回

原子力のリサイクル
限られた資源の有効

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 限りある資源をより有効に利用するために、さまざまな分野でリサイクルの重要性が叫ばれている。特に日本の場合は、資源の大部分を輸入に頼っているのでなおのことである。エネルギー資源においても最大限に有効活用することが求められている。

原子燃料サイクル
 原子力発電の燃料にはウランが使われている。採掘された天然ウランは原子力発電所で使用するため燃料に加工され、発電に使用したあと再び利用することができるのだ。
 ウラン燃料を燃やしたあとには、燃え残りのウランや新しく生成されたプルトニウムが含まれている。これらを再処理工場に送って回収し、再び燃料として使えるように加工する。この一連の流れを「原子燃料サイクル」といい、このサイクルの完成で原子力エネルギーの長期的な確保が実現し、資源は何倍も無駄なく使うことができるようになる。このことは、国産のエネルギー資源に恵まれず、かつエネルギーを大量消費しているわが国にとって大きな意義がある。
 図のように燃料の流れを追っていくと、再処理することによってウラン資源を繰り返して利用できることがよくわかる。再処理の工程は、使用済燃料を処理しやすくするため、貯蔵プールで冷却しておくところから始まる。次に、これをせん断して細かくし、溶解槽に入れ、中身の燃料を溶かしていく。そして、化学的に分離を行い燃料として使用するウランやプルトニウムを回収する。また分離した高レベル放射性廃棄物はガラス固化する。

青森県六ケ所村で事業化
 現在、原子力発電を行っている国の中で使用済燃料の再処理を積極的に推進している国はイギリスとフランスで、すでに20年以上の実績をもっている。日本はウラン濃縮や使用済み燃料の再処理の多くを海外に委託しているが、国内では、青森県上北郡六ケ所村において、商業用の再処理、ウラン濃縮及び低レベル放射性廃棄物埋設の3施設の事業化が進められている。1992年にウラン濃縮工場が操業を開始し、低レベル放射性廃棄物埋設センターも同年埋設を開始している。また再処理工場については、2005年の操業を目指して建設中である。
 電気を今後も長期的に安定して供給するためには、国内での原子燃料サイクルの確立が必要となってくる。
(教育家庭新聞1999年8月21日号)