エネルギー講座 第4回

発電所の環境対策
日本の防止技術はトップレベル

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 地球温暖化や酸性雨、オゾン層の破壊など地球規模の環境問題が深刻になってきているが、電気事業では火力発電によって発生するCO2(二酸化炭素)や、SOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)等の抑制を中心として、環境保全と電力供給の安定確保の両立を図っている。

CO2対策
 化石燃料を燃焼することによって生じるCO2。火力発電を行うことでこのCO2を多く排出することになるが、CO2をほとんど排出しない原子力発電や、新エネルギーの利用を増やしたり、火力発電所に新技術を導入することで発電効率の向上を行ったり、さらに送電ロスの減少など様々な対策をとることで日本の発電電力量当たりのCO2排出量は、近年大幅に減少している。
 電気の使用量が過去25年間で約2・9倍増加したのに対し、電気事業からのCO2排出量は、約1・9倍に留まっており、2010年度には1kW時当たりのCO2排出量を、1990年度に比べ20%減らすよう、引き続き取り組んでいる。

SOx、NOx対策
 火力発電所では、CO2の他に光化学スモッグや酸性雨の原因となるSOx、NOx、ばいじんを排出しているが、さまざまな燃料対策と設備対策により、最小限の排出に抑えられている。
 燃料の面では、重・原油や石炭の中でも硫黄分、窒素分の含有量の少ないものや、硫黄分やばいじんを含まない天然ガス(LNG)などの良質燃料を使用している。
 また設備の面では、脱硫装置や脱硝装置によるSOx、NOxの効率的な除去が行われている。高効率の装置を採用したプラントの場合、90%以上のSOx、NOxが除去されている。さらに煙突から排出する直前に、SOx、NOxの濃度を測定・監視しており、また集合高煙突により煙は非常に高くあがり薄められて排出されるなど万全の対策がとられている。
 これらの対策により、発電電力量当たりのSOx・NOx排出量は1970年代半ば以降、急激に低下し、その結果、現在では先進6か国平均と比較して、SOxが約20分の1、NOxが約7分の1であり、それぞれ1桁低い、極めて小さい値となっており、世界的にも我が国の防止技術はトップレベルであるといえる。電力業界は、現在も新たな技術の研究開発を進めるとともに、環境技術を諸外国に提供し、地球規模の環境問題の解決にも積極的に取り組んでいる。
(教育家庭新聞1999年6月26日号)