エネルギー講座第11回

水力発電の仕組み
水力発電は有効な自然のエネルギー

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 河川が多く水資源が豊富な日本では、かつて発電の中心は水力発電であった。現在でも、全国には1000か所以上の水力発電があり、日本の発電量の11%を担うなど、今もなお自然のエネルギーを利用した重要な電力源となっている。

発電のしくみ
 高いところから流れ落ちる水の力を利用して水車を回して電気を起こすのが、水力発電の基本的な原理。ダム式発電を例に見てみると、ダムに貯まった水を取り入れ口から引き込み、鉄の管を通して水車に運ぶ。鉄管によって導かれた高速・高圧の水の流れが水車を勢いよく回転させ、同じ回転軸につながっている発電機に水車の回転力が伝えられて電気が起こる。発電の大きさは水量と落差(ダムの水面と放水路の水面との差)によって決まる。

水力発電の種類
 水力発電には構造面や利用面からいくつかの種類がある。まず構造面で代表的なものが、先に述べたダム式発電だ。山間部で川幅が狭く、両岸が高くきりたったようなところにダムを設け、水をせき止めて人造湖をつくり、その落差を利用して発電する方式であるが、古くから開発が進んでおり、大規模なダムを建設できる地点はほとんど残っていない。また材質がコンクリートで、ダム自体の重さで水圧を支える重量ダムが日本でも最も多い。
 ダム式の他には、川の上流に小さな堤をつくって水を取り入れ、長い水路で適当な落差があるところまで水を導き、そこから下流に落ちる力で発電する水路式や、この水路式とダム式をより効果的に組み合わせたダム水路式がある。

 水の利用面では、揚水式、流れ込み式、調整池式、貯水池式の4種類がある。揚水方式は昼間の電気がたくさん使われるピーク時に活躍する発電方式で、発電所とこれをはさむ上下2つの調整池からなる。昼間、電気がたくさん必要な時は上部に水を落として発電し、発電に使った水を下部調整池に貯めておく。逆に電気の使用の少ない夜間に、下部から上部に水を汲み上げ、再び昼間の発電に使うというように一定量の水を繰り返して使用する方式。
 また、川の水をそのまま利用する流れ込み式や、水路の途中にある調整池で水量を調整して発電する調整池式、調整池よりも大きな貯水池に雪どけ水や梅雨、台風の水などを貯めて発電量を季節的に調節する貯水池方式がある。
(教育家庭新聞2000年1月29日号)