学校栄養士を訪ねてH 廊毎日一言カードを各教室に
大宮市立植竹小学校 若林美子さん
毎日一言メッセージカードで子どもたちに食について伝えているという埼玉県大宮市立植竹小学校の若林美子さん。給食の時間に教室に顔を出して指導するということは特別に行っていないという。「食事中にいろいろと指導を行うということは、普通の生活から見ると日常的ではありませんから」と話す。
献立に関することや、食事のマナーに関することなどを書いたこのメッセージカードは各クラスに1枚、給食と一緒に配られている。低学年、高学年用に少し言葉を替えたりして2種類のカードを用意。これを「いただきます」のあいさつの時に、当番の子どもが読み上げることになっている。
「お昼の放送も聞いているようで、案外聞いていない場合も多いと思います。この簡単なメッセージだけでも伝わってくれればという気持ちで毎日子どもたちのために書いています」。その日に若林さんが思ったこと、感じたことなど自分の気持ちを書く日もあるとのこと。また「係の人は並んでとりに来ましょう」など生活のマナー的なことも書いている。「食べるということは生活の一部ですが、それを通して、生活全体を見直せる場になればと思います」。
大宮市では、昨年度から国際交流を考えた献立作り「料理で世界めぐり」に取り組んでいる。月に1度、中国やスペイン、フランスなどの料理が並ぶ。これは、子どもたちもとても楽しみにしているもので、好評だという。また他の国に関心を持つという指導の上でも役に立っている。中国料理はマーボー豆腐やしゅうまいなど馴染みのある献立だが、インド料理などなじみの薄い国の献立だと残菜も多いという。
学校全体と連携した食の指導という面では、年に1度、地場産物による献立作りをしていること。近隣の農家の畑から大根をとる様子や農家の人の苦労話などを子どもたちがビデオカメラで撮影し、全クラスに放映する。そしてその大根をその日の給食に出すことで、食事への感謝の気持ちがより強まり、食欲も違ってくるという。食に興味を持つという意味で、その効果は大きい。
まだ年間指導に組み込まれた本格的な食の指導は行えていないのが現状。家庭科でT・Tとして単発的に指導に加わる程度だそうだ。しかし同校で行われている課題研修で積極的に食の指導の研究を行っている。これは教師1人1人がそれぞれ課題をたてて研究を進めるというものだが、若林さんもこの研修に加わり、「給食でいかに自らの決定力をつけるか」という研究テーマをたて、バイキング給食やセレクト給食を行い、その場が子どもの自己表現の場になっているという報告を行った。
これをきっかけに授業につなげていければよかったという若林さんだが、これから食の指導を行っていこうとしている段階で、よい切り口になったのではと話す。
(99年5月15日号)
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