学校栄養士を訪ねてD

     休み時間には子どもたちと交流

                   新潟市立浜浦小学校 小黒モト子さん
 

 新潟県新潟市立浜浦小学校で働く学校栄養職員小黒モト子さん。給食調理場内の一角にある小黒さん専用の部屋に入ると、ドアには子どもたちが書いた小黒さんの似顔絵が架けてあり、部屋の中にも似顔絵の色紙が置いてあった。
 昼休みや休み時間になると子どもたちが顔を出し、いつも部屋の中は賑やかだという。浜浦小学校では、学校栄養職員と教員による食に関するT・T授業などは特別に行っていないが、小黒さんから先生方に進んで声をかけるようにして、各クラスでの子どもたちの状況を把握したり、学級での給食指導を徹底してもらうようにしている。また担任の先生が出張のクラスがあれば小黒さんはいつも教室に顔を出す。「学校栄養士として、子どもと接することはとても大切なことだと思っています。接していく中で、常に子どもを引き付けるように工夫しながら食の話題を提供する。そうすれば子どもたちは自ら食に関しても真剣に考えるようになってくると思います」。給食委員を中心にして、毎日、昼の放送を流したり、掲示板にその日の献立を栄養別に表示したりと子どもたちは積極的に活動している。

「いろいろと書くことが好きなんです」

 「委員会の子どもたちを使って、全校の子どもたちに正しい食事の摂り方は伝えることができているので、私は子どもたちの活動をサポートするという形で、食に関する資料提供を行っています」。お昼の放送の原稿を書いたり、給食だよりを発行したりと大忙しの毎日だ。「他から得たものや自分の持っている食の知識を、給食だよりなどを通じて知らせています。いろいろと伝えたり、書いたりすることが好きなんです」という。子どもだけでなく、父兄からも給食だよりの感想をもらったり、掲載している献立に問合せがきたりと反響があるのも嬉しいとのこと。発行した給食だよりは、指導資料として一冊にまとめ、全家庭に配布した。
 日々の仕事の中で特別なことはしていないが、おいしいものを提供することを一番に考えてきた。「安全でおいしい食事を気持ちを込めて提供していくことが、学校栄養職員がまず何においても忘れてはならないことだと思います」。浜浦小学校の給食で使っている食材は、厳選された県内産の味噌や野菜を使用している。価格的には高値になるが、その分、行事食等でのケーキは出さないなどして予算内で対応している。「当然のことですが、温かいものは時間ギリギリに出すように心がけ、できる限りおいしいものを日々努力しています」
 

 最後に学校栄養職員という仕事の魅力を聞いてみた。「限られた条件の中で献立を工夫し、子どもたちに提供する。給食を食べ終えた子どもたちからすぐに、「おいしい」とか「おかあさんのとちょっと違っていた」とか反応が返ってくる。その結果を見て、すぐにその改善をすることができる。毎日がこれの繰り返しで、あきることがないところでしょうね」。この仕事について36年。その間、学校給食を取り巻く状況は変化してきているが、食だけでなく常に新しい発見を求め続け、そして得たものを子どもたちに伝えている。

(教育家庭新聞98年12月12日号)