連載

循環型社会を持続する(2)資源再利用の仕組み

変革の契機はスチール缶

前号では、リサイクルの原点についてふれた。1970年代より一般的に使われた「リサイクル(1R)」という言葉は、91年の再生資源有効利用促進法成立により、法律の場で初めて使われた。

■スチール缶リサイクル協会
美化キャンペーン
47都道府県すべてで行われてきた
美化キャンペーン

「リサイクル」が行われるためには、資源の循環が重要となる。全国の市町村で当たり前のように定着している消費者の分別排出、自治体の分別収集の社会的システムだが、これを普及させるべく取り組んできたのが、スチール缶リサイクル協会だ。

73年にあき缶処理対策協会として設立された団体で、鉄鋼メーカーと製缶メーカー、それらを取り扱う商社の全12社で構成されている。

■実験・調査・支援

70年代といえば散乱ごみが社会的に注目されてきた頃だが、自治体としては静岡県沼津市がびん・缶の分別収集を全国に先駆けて開始し(75年)、併せて同協会は空き缶処理システムの実験を同市で実施した。

当時、空き缶は最下級のスクラップとして扱われ、空き缶スクラップを使用する電炉メーカーは限定的であった。そこで沼津市での実験と同時期に平炉、電炉メーカーにおける空き缶の再利用状況の調査等の調査や実験を行ってきた。さらに同協会では、分別収集が各自治体で機能するように、リサイクルセンター、回収車などの支援も行ってきた。ちなみに、分別収集は全国98・5%の区市で実施され(平成23年度)、96・2%の区市ではスチール缶を分別の対象としている。

だが、分別収集するだけでリサイクルは完結しない。収集した「ごみ=資源」を資源化することが必要となるが、業界として「引き取り保証」を確立し受け皿を作ったことで、収集・資源化システムのルートが整った。

スチール缶リサイクル協会HP
スチール缶リサイクル協会HPより
■90%超のリサイクル率

79年には40%程度であった再資源化率が、飛躍的に向上し、現在のスチール缶リサイクル協会に改称した2001年には80%を超え、経産省のガイドラインである85%を12年連続で達成。平成24年は過去最高のリサイクル率となる90・8%を達成した。

同協会では、当初から行ってきた自治体と共に行う美化キャンペーンを継続し、その回数は延べ492回。環境教育の支援も行っており、「環境教育推進支援」助成や、スチール缶リサイクルポスターコンクールの実施等をきっかけに、日本の未来を担う子供達に資源について考えてもらうきっかけを提供している。

次回はスチール(鉄)の特徴を考えながら、どのように資源として循環しているのかを紹介する。

【2014年7月7日】

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