自分たちでも対応を考える |
アイドル活動をしていた女子大学生がファンの男に刺される事件が起きました。一時意識不明でしたが、幸い最悪の事態を避けられました。アイドルとファンというのは特殊ですが、ツイッターがきっかけというのは一般的になりつつあります。
昨年の私の調査(大阪の小中高校生約2万人)では「面識がない人とネットでやりとりした」のはスマホ所持の約48%、「ネットで知り合い会った」は約14%でした。ネットでの「出会い」は一般的になりつつあります。さらに兵庫県での私の調査では、小4以上の9割が、日々ネット接続し、使用機器はスマホだけでなく、ゲーム機からが多いこともわかっています。犯人が悪いのはもちろんですが、こういう前提でこの事件をどう教えたら良いか考えてみます。
■ブロックが原因?
新聞等では、被害者が容疑者からの執拗なメッセージが怖くなり、贈り物を送り返し、容疑者をツイッターでブロックしたのが犯行の引き金と報じられています。ネット上では「贈り物を返したのがまずかった」「急なブロックが火に油を注いだ」等、さまざまな意見が書かれています。確かに報道からは、容疑者が「ブロックされて逆上した」等と話していると漏れ聞こえていますが、追い込まれた被害者の行為は責められません。
子供たちに「ネットで嫌なことを書かれてもブロックしてはいけない」と教えるべきでしょうか。これはこれで難しいです。ネット上で暴言を繰り返されるだけでも精神的に追い込まれてしまいますし、無言で言われっぱなしではもっとエスカレートする危険性もあります。「暴言を繰り返す人は適当に相手をして、徐々にフェードアウトしてもらう」と書く方もいますが、そんなにうまくやれる子供はいません。しかもこれからの「当事者」は小学生です。私たちの国の子供たちは、半数近くがネットで知らない人とやりとりしますが、その作法をわかっていません。
私は最近、子供たちの前に立つときは、この事件について触れることにしています。まだ明確な答えが出ていないので、「知らない人とは絶対にやりとりしてはいけません」「困ったり、怖いことがあったら大人に必ず相談してください」と話していますが、実際のところ、迷いながら話しています。相談された大人がしっかりと対応できる体制を私たちの社会は持っていないからです。その代表例が「SNSでのやりとりがストーカー規制法に適応されにくい現状」です。(続く)
【2016年7月4日】
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