連載

スマホ時代到来(33) 〜今、大人が知っておきたいこと〜兵庫県立大学 准教授 竹内和雄

フィルタリング率向上へ〜高校生たちの挑戦〜

■兵庫県の状況

啓発活動する販売店
販売店で啓発活動
 兵庫県グラフ

今回も兵庫県の状況を記載します。試行錯誤の繰り返しですが、全国の参考になると思います。

下のグラフは、兵庫県の18歳以下のフィルタリング率の推移です。平成23年調査から減り続け、25年には5割を切りました。私たち教育関係者は、26年から県青少年課や県警察、教育委員会、各事業所等と協力して、この問題に取り組みました。

研究室の学生が啓発ポスターのデザインをしたり、リーフレットを工夫したり、各地で保護者向け講演会を実施したり、小中学生に直接授業をしたり、いろいろなことに取り組みました。特に小中学生向け授業では、各学校で大学生が教育委員会の方と一緒に考えた授業を警察官同行で行っています。年間200校以上で実施し、強い手応えを感じています。こんな調子で1年頑張ったのですが、26年は微増にとどまり、関係者は落胆しました。そこで心機一転、頑張ったところ、昨年度一気に伸び喜んでいます。

■高校生の声

写真は猪名川町の高校生(Swing‐by所属)が携帯電話ショップで親子連れの客にフィルタリング設定を呼びかけているものです。彼らは私の研究室の学生達の支援のもと、地元の小学生にスマホ問題等の啓発授業に取り組んでいます。その中で小学生のフィルタリング設定の重要性を痛感したそうです。ポスターやチラシ、のぼりまで作って頑張っています。

こんなに頑張る理由を高校生諸君に聞いてみました。「小学生が危険なサイトに簡単にいっている」「ISの首切り動画を小学生が普通に見てた」等で危機感を持ち、「自分たちで呼びかけたいと思い、携帯電話会社に頼んでみた」「今回は猪名川au店、川西DoCoMo店だったが、他の場所でもやりたい」。

頼もしい限りですが、彼ら自身フィルタリング設定をほとんどしていませんでした。理由を聞くと「小学生には必要だけど、高校生には向いてない」「不便でしょうがないからやっぱり解除してもらった」。彼らを自己矛盾、言動不一致となじるのは簡単ですが、これだけ意識の高い高校生が設定しないフィルタリングの制度自体について考える方が先だと私は思っています。「高校生でも使えるフィルタリングを偉い人と一緒に考えたい」とある生徒は言っていた。

試されているのは、私たち大人の方です。

 

【2016年5月9日】

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