■多様な開催主体
最近の特徴の一つに、開催主体の多様性があげられます。これまでの学校や教育委員会に加えて、最近は警察・PTA等、教育関係以外が主体になって取り組むことが増えてきています。特に増えているのが議会が実施を先導することです。議会の質問等で、スマホ等の問題への対応について取り上げられ、議員が子供たち自身のルールづくりを提唱することから始まります。受ける形で、教育委員会等がスマホサミットの実施を約束するようです。
大人と子供が一緒に教える |
私は、以前から子供たち自身のルール作りを提唱してきたので歓迎していますが、喜んでいられないケースも多いです。例えば、子供たちが考えるべきルールに大人が干渉することです。
■大人の事情
具体的には「夜9時にはスマホ使用を終わることを子供たちから提案させたら良い」等です。結論が決まっていることを話し合うほど子供たちが嫌がることはありません。また、子供たちが決めたルールを大人が承服しないケースもあります。某市の悲しい事情を紹介します。
市内の中学校生徒会執行部員が集まってルール作りをしました。生徒諸君は一生懸命話し合い「遅くても11時には終わろう」と決めたそうですが、校長会からクレームで発表直前に11時を10時に変更したそうです。「11時は遅すぎて、市のルールにふさわしくない」というのです。
私も教育行政に長くいたので、このあたりの難しさは多少分かっているつもりですが、後出しはまずいでしょう。大人の事情があるなら話し合う前に子供たちに提示しておくべきです。こういうことをすると、子供は二度と本気で話し合いません。話し合うふりをして、大人の答えを探して、それに沿った発言に終始します。子供たちは実は大人にも事情があることは重々承知で、大人の提示した範囲で実に柔軟な対応策を考えてくれます。
■大人も一緒に
考える
そういう大人の事情も正直に提示しながら、大人と子供が一緒に対策を考えることこそ、これからの私たちの社会に求められていることだと思います。これから私たちの社会は、新しい時代に対応した新しいルールを作っていかなければなりません。大人だけでも、子供だけでも無理です。試されているのは、私たち大人の側です。
【2016年3月7日】
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