教員向けタブレットPC活用研修 |
鹿児島市の学校教育や社会教育に関する調査研究や研修などを行う鹿児島市立学習情報センター。近年は、校務用PCや教育用タブレット端末の導入、KEIネット(鹿児島市教育情報ネットワーク)の運営など、教育の情報化とそのサポートも担っている。そこには2名のICT支援員が常駐し、日々市内の学校のICT活用を支えている。その様子を取材した。
同センターに常駐するICT支援員の大きな特徴は、教員免許を取得し、教壇に立った経験があることだ。これは求人の条件だったそうだ。
指導主事の木田博氏は「学校現場、そこで働く教員の言葉や文化を理解し、円滑なコミュニケーションが取れることを重視した。また、授業支援の中で、子供たちに指導する場面も想定している。平成21年度からICT支援員を雇用してきが、そこで浮かびあがった課題から、このような条件での求人に至った」と話す。
実際に学校へ行くICT支援員の福留亜美氏によると、総合的な学習の時間などで、プレゼンスライドの作成やICT機器の活用方法などを説明する際、授業者として直接児童に支援することもあるそうだ。
多様な仕事を抱えている教員に対して、わかりやすい言葉で話すこと、ICTに関する部分は支援員がサポートすることを伝え安心感を抱いてもらうように心がけている。研修では「こういう授業ができますよ、こんな指導はどうですか?」という形で、教員が授業のどの場面でICTを活用すると良いかイメージできる様に工夫しているそうだ。教員経験があるからこそできる支援だろう。
反面、技術的な部分の対応には不安を感じることもあったと言う。
ICT支援員の宮田彩香氏は「採用された当初は、技術的なトラブルに苦労する部分もあった。その都度、センターに常駐しているシステムエンジニアの助言などを得て対応してきた。今は自分のスキルも高まってきたと感じている」と話す。
同センターでは、市内の教員を対象に「タブレットPCを活用した授業づくり講座」を開催している。木田氏は「ICT活用指導力の向上を考えたとき、表計算ソフトの操作スキルよりも、先ずは授業力の向上を求めていきたい。そのために、良い授業づくりと、効果的なICT活用を考える研修を実施している」と話す。
福留氏と宮田氏によると、タブレットPCの活用も進み、教員から具体的な活用を相談されることも増えた。今では体育や音楽の実技の様子をタブレットPCで録画し、すぐに振り返るなど、効果を体感する場面も見られるようになったそうだ。
平成21年度から25年度までは、厚生労働省の緊急雇用対策基金を活用し、市の臨時職員として雇用。今年度からは市の自主財源を確保した。
山下聖和主幹は「学校への派遣回数や延べ訪問学校数、支援を受けた教員数や割合、ICT活用指導力の向上度合いなどの数値を示しながら、行政内の理解を得ていきたい。整備を担当する立場として、活用が進み効果を高めるためには、ICT支援員が益々必要だと考えている」と話した。
授業づくりを大切にするために、教員免許を持ち教壇に立った経験者が支援する。ICT活用が進み、さらなる授業改善に繋がっていくことが期待される。
【鹿児島市のICT環境】
■市立幼稚園4園、小学校78校、中学校39校、高校3校を管轄
■小中学校PC教室(20〜42台/校)、タブレット端末(OS:Windows 5〜11台/校)、教育用PC(全普通教室に2台配備、別途移動用ノートPC有り)、電子黒板(平均2台/校)、実物投影機(小中高の全普通教室に1台配備)、有線/無線LAN、校務用PC、グループウェアなど
【2015年02月02日】
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