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スマホ時代到来(23) 〜今、大人が知っておきたいこと〜兵庫県立大学 准教授 竹内和雄

スマホ指導に必要な心構え

2014関西スマホサミット
2014大阪スマホサミット
2014関西スマホサミット(上)
2014大阪スマホサミット(下)

先日、ある自治体が情報モラル教育の業者委託を考えているというので相談を受けた。

 今、学校ではスマホ等の問題が多発しており、情報モラル教育は必須だが、専門家がいない。解決策として、学校毎に専門の業者に委託し、その費用を自治体が負担してはどうか、というのだ。

私なりに「知識」「経験」「技術」に絞ってアドバイスをした。

(1)知識が必要

子供たちのケータイ・スマホ使用の実態は日々変化しており、大人が常にキャッチアップしていくのは非常に難しい。子供に教える立場になるのならば、それ専用に学ぶことが必須。しかも、学ぶ場は残念ながら、既存施設にはなく、現状では子供に教えてもらうしかない。

(2)経験が必要

 情報モラルの専門家と呼ばれる方々の多くは、パソコンに詳しい方がまず連想される。今、学校で求められているのは、ケータイ・スマホ問題なので、専門分野が異なっている。この分野での指導経験を持つ大人は実はかなり少ないのが現状である。

(3)技術が必要

知識が豊富な子供たちに教えるのだから、実はかなりの技術が必要。数学や英語等では、大人の知識が優位なので子供は最初から従う姿勢を持つが、この種の問題では、子供たちは、「大人の品定め」をする。知らないと見ると全く乗ってこない。私の研究室に出入りする学生たちは、昨年だけでも100回以上、小中高の教室に入って、スマホ等の授業を行っている。実際に使いこなしている大学生でさえ、舌を巻くほどの小学生が最近は多い。大学生でさえ、日々子供たちから学んでいる。

後日談

話をした自治体の担当者は、早速その自治体のICT支援員を派遣している業者の責任者とこの話をしてみたそうだ。

責任者は「自分たちは長く情報モラル等を扱っているので、担当するのには何の支障もなく、いますぐにでもできる」という答えだったそうだ。

私が託した質問「フィルタリングについてどう思うか」を問うと、「LINEができないので子供たちはフィルタリングを敬遠している」という回答だったそうだ。

実は、4月にEMA認定を受け、フィルタリングをしてもLINEができるようになった。

私は、LINEが認定を受けたことは、日本の子供達に大きな影響を与えると思っている。子供がフィルタリングを拒む理由がなくなったからである。そのことを知らない人が専門家と自他共に認めていることに危機感を覚えた。

【2015年5月4日】

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