連載

スマホ時代到来(21) 〜今、大人が知っておきたいこと〜兵庫県立大学 准教授 竹内和雄

OKAYAMAスマホサミット

OKAYAMAスマホ教室
OKAYAMAスマホ教室2
中学生がスマホについて考える

私の研究室は、各地の子どもたちが自分たちでスマホ等について考える支援を行っている。左の表は、これまで関わった一部で、気がつけば20近くにのぼっている。

2014年までは近畿に限定してきたが、今年からは少し広げて、岡山スマホサミットの支援を始めた。これまでこういう会は、自治体等が主催であったが、今回の主催は新聞社である。岡山県でのシェア公称6割の山陽新聞社が子どもたちのネット問題に危機感を持ったのが始まりである。

岡山の問題は岡山で

主催は山陽新聞で、県教委・市教委が共催。実に力強い。

元旦には、この問題の座談会記事が2面ぶちぬきで掲載された。県教育長と現職校長、保護者と中学生2名。それに私が加わって、スマホ問題をきっかけに、これからの教育の目指すべき方向についても熱い議論が展開した。教育長と中学生が話し合うこと自体、大きな意味を持つが、中学生の言葉に真摯に耳を傾ける教育長の姿勢に心を打たれた。

岡山中で座談会は読まれたと思うが、こういった動きは、自治体や学校だけの取り組みでは難しい。その後、岡山で多くの大人と接するが、誰もが前向きで驚いている。

大人の責任として

サミットは、11月、1月、2月、3月の四回を予定。毎回、県教委等から出席があり、生徒の問いかけに即座に応答している。少し紹介しよう。 

勉強じゃ! スマホ手放せ中学生

月の集まりで生徒たちは3か条からなる「おかやまスマホ宣言2015」を練り上げた。上はその1つ目である。

原案を作成した生徒は「中学生はやっぱり勉強が大切。スマホで勉強がおろそかになってはいけないと思います。そのあたりを、きつくなりすぎないように岡山弁を使って表現しました」
生徒たちはさらに「スマホ宣言をポスターにして全県に貼りたい。そのためにコンクールをしたい」と言い出した。

それを聞いた県教委の指導主事は即座に「県教委として全力でバックアップします」と快諾されました。私も長く教育行政にいたので、縦社会と言われる行政での即答の難しさはよくわかっているつもりなので、正直、かなり驚いた。その時の生徒たちのうれしそうな顔が印象的だった。この様なやりとりのあと、生徒達は前にも増して熱心になった。違う対応があれば違う生徒になったかもしれない。

子どもが本気になるには、まずは大人が腹をくくる必要があると再確認した一日だった。

【2015年3月2日】

関連記事

↑pagetop