(上)ドラマの一場面(下)「おおあらし」はスマホより面白い |
今回も、10月26日に実施された「猪名川小学生スマホ教室」について報告する。猪名川町の高校生が、自分の町の小学生にスマホについて教えたものだが、今回は、スマホ教室の具体的な内容を紹介しよう。
今年度の特徴は、教える内容から高校生自身が考えたことである。私のゼミ生らが彼らの話し合いにファシリテーターとして参加したが、あくまでも高校生自身の意向を引き出す役割に徹した。
高校生がこだわったのは、できるだけ具体的であること。「〜べき」とか「〜してはいけない」と単に言葉だけで説明するのではなく、できるだけ具体的な例をあげて小学生が自分で気づくようにさせたいというのが彼らの願いであった。
高校生が行き着いたのは、自作自演のビデオ教材の作成であった。 「小学生でも分かるような簡単なストーリーで、しかもスマホについて考えることができるものにしたい」
最終的には「冷蔵庫に入った写真で大炎上」「ついつい課金」の2つのビデオ作品を仕上げた。どちらも少し愚かな高校生がついついいけないことをしてしまいそうになったところに、「神様」が出てきて「ちょっと待った!」と諭す。単純明快なストーリーである。
小学生にしてみたら、目の前で説明しているお兄さん達がいきなり画面に出てきて、ドラマが展開するので、面白くないわけがない。食い入るように見ていた。
「スマホ教室」の締めくくりは、高校生たちのたっての希望で「鬼ごっこ」。当日はあいにくの雨模様で、屋外での鬼ごっこはできず、屋内で小学生と高校生、大学生で「おおあらし」。非常に盛り上がった。
実は、当初私は、高校生が鬼ごっこをしたがる理由が分からなかった。時間潰しか、せいぜいお楽しみの要素を入れたいだけだろうと思っていたが、彼らは大真面目である。不思議に思って、彼らの真意を聞いてみた。このいきさつは以前にも書いたが、重要な部分なので、再度、書いておきたい。以下、彼らの言葉である。
スマホの危険だけをいくら言っても小学生には届かない。小学生に必要なのは、スマホよりも面白いものだ。自分達が小学生の頃は、スマホなんかなかったから、ずっと鬼ごっこをしていた。今の小学生は鬼ごっこをしたことがないので、その楽しさを知らないはずだ。だから教えてあげたい。
スマホの解決は実はスマホにあるのではなく、リアルの側にある。高校生に教えられた思いであった。
【2015年2月2日】
関連記事