ICT支援員は研修や情報モラル 教育もサポートする |
島根県の南東部に位置する飯南町。
町立の保育園や小中学校の他に県立飯南高校があり、保小中高一貫教育に力を入れている。
近年は小中学校におけるICTを活用した教育を推進。
電子黒板やデジタル教科書の整備に加え、タブレット端末の整備も進めている。
地域のモデル校となる飯南町立頓原中学校のICT活用をサポートするICT支援員と学校、教育委員会を取材した。
この日は、町の授業研究会として2年生の理科「電流のはたらき」の授業が行われた。
隣り合う2本の導線に電気を流したとき、どの様な磁界が発生するのか実験を通して確認する。
前時の実験の様子を電子黒板に投影し、既習事項を確認。
その上で本時の実験を予想し、自身の考えをワークシートに記入する。
代表者が書画カメラにワークシートを映して、考えた予想を発表。
その後グループで実験を行い、発生した磁界をタブレット端末で写真に収めていく。
グループによっては写真に文字などを書き込み、より分かりやすく表現する活動も見られた。
教師の指示や発問とICT支援員のさりげないフォローにより進行していく。
生徒はタブレット端末を活用しながら話し合い、考えを深めていた。
ICT支援員として同校をサポートしている(株)アシストワンの脇田秀夫氏は「タブレット端末と授業支援システムが導入され、授業での活用が進んできている。
稼働し始めてから求められるシステム等の細かい設定や、授業前の動作確認など事前準備を中心にサポートしている。
常駐勤務ではないため、日頃から授業に立ち会えるわけではない。
授業中は先生が自力解決できるような、使いやすいICT環境を維持することを心がけている」と話す。
この日の授業研究会には飯南高校の教師も参加。
協議会では高校の理科の視点からの意見も出され、中高が連携して学力向上に取り組む姿が見られた。
飯南町教育委員会の森山雪美指導主事によると「保小中高一貫教育の中で、交流授業や教師が校種を超えて授業を見る機会が増えた。
その結果、中学や高校は、それまでの学習内容や子供の様子を把握して受け入れることができ、進学時のスムーズな接続に繋がっている。
同時に地域で育てる意識の醸成にも効果的だ」と話す。
飯南町は、電子黒板やデジタル教科書、タブレット端末、ICT支援員の配置等、島根県内でもICT教育に先進的に取り組んでいる地域だ。
その目的や今後について森山指導主事は「学習意欲の向上とその先の学力向上を目指し、学習を補助するツールとしてタブレット端末の整備に着手した。
ハードやソフトだけ導入しても思うような活用に結びつかない。ICT支援員が必要だと考え、その業務を外部の専門家に委託している。
県内の他の地域から赴任してくる教師の研修にも効果がある。情報モラル教育もサポートしてもらっている」と話す。
同校の木下雄介校長は「生徒は違和感なく活用しており、興味関心や学習意欲の高まりを実感している。
数年来、電子黒板やデジタル教科書などを授業で活用している素地があり、タブレット端末の活用も積極的に進めたい。
教師には、言語活動の充実をどう図るかという視点を大切にし、ICT活用指導力を向上させて欲しい。
本校の授業の質の向上もさることながら、今後他の地域に異動したときにも、この経験が活きることを期待したい」と話した。
中山間僻地に存在する同校。
地理的状況を物ともせず、子供達の未来を見据え、地域の教育機関やICT支援員が一体となってより良い学びの場を提供しようという取り組みが積極的に進んでいるようだ。
■電子黒板(液晶型を整備)、タブレット端末(Windows8.1 Pro 20台)、授業支援システム、移動用無線LANアクセスポイント
【2014年12月8日】
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