連載

スマホ時代到来(19) 〜今、大人が知っておきたいこと〜兵庫県立大学 准教授 竹内和雄

猪名川スマホ教室

メモをとる小学生
高校生になったら私も教えたい
授業風景
高校生講師のスマホ教室

今回は10月26日に実施された「猪名川小学生スマホ教室」について報告する。

以前書いた通り、猪名川町の高校生たちが自分たちのスマホ問題について話し合った結果、「自分たちの町の小学生にスマホついて教えてあげたい」と考えた。うちの大学生が高校生を支援したのだが、今考えられる情報モラル教育の到達点だと感じた。

綿密な準備

高校生たちは、何度も研究室を訪れ、大学生も何度も猪名川町に足を運んだ。

大学生が指導した模擬授業だけでも20回を超え、兵庫県警察の方に取材をして「スマホの教科書」を作成。

さらに高校生自身が台本を書いた映像教材まで準備したのだから、準備に万全を期したつもりだったが、当日、大きな誤算があり、混乱した。

予想外の混乱

誤算は参加者である。

猪名川町の広報誌等で知って集まったのだが、当日、参加者を見て驚いた。

私たちは小学校高学年を想定していたが、実際は多くが3年生以下。

高学年の子たちは、すでにスマホを使いこなしており、親子ともに「わざわざ休日にスマホの授業に受けるまでもない」と判断したようだ。

特に保護者は「まあ、使いこなしているから、うちの子は大丈夫だろう」という感じだろう。

それに対して、参加した低学年の保護者からは「小さいうちから教えておきたい」という声を聞いた。

言葉遣いも教科書の文字も高学年を想定したものであったが、当日の変更は難しく、予定通りの授業を行わざるを得なかった。

ある程度の失敗を想定し、大学生が理解しづらい小学生を補助する準備もしていた。

結果的に大成功

しかし、である。

その授業が予想外に成功したのである。高学年用のはずが、低学年の興味関心にぴったりはまったのである。

高校生たちが臨機応変にわかりやすい言葉遣いに改めたこともあるが、それ以上に、低学年でも充分な予備知識を持っていたのだ。

写真は、参加した小学2年生の女の子だが、彼女は高校生の授業を聴きながら、熱心にメモを取っていた。

「スマホは便利だけど、危険もあるから注意しようと思った」「わたしも高校生になったら、みんなに教えたいです」と感想を元気に話してくれた。

高校生は鼻高々

教育長をはじめ、校長先生や先生たちも参加してくださり大絶賛。校長先生は「出張授業に行くときは公欠扱いも検討します」と話してくださり、高校生たちは鼻高々。

こういう空気があるから、続くのだろう。

なお彼らには町内の小学校はもちろん、近隣市や地域の老人の集まり等からもオファーが届いている。

楽しみである。

【2014年12月8日】

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