連載

【第48回】ICTキャンパス 武蔵大学

広告会社と学術協定ビジネスデータを活用

社会学部のゼミでは、広告会社のビジネスデータを授業で活用している
社会学部のゼミでは、広告会社のビジネスデータを授業で活用している

グローバル・データサイエンスコース新設

武蔵大学(東京・練馬区)は平成29年10月、広告会社のアサツー ディ・ケイ(以下ADK)と学術交流協定を締結した。

武蔵大学は、電車で池袋から7分、新宿から15分と、都心にありながら、緑豊かな環境にキャンパスを構える。

経済、人文、社会の3学部8学科からなる文系総合大学。4年間を通しての徹底した少人数教育が特色で、「ゼミの武蔵」と呼ばれることも多い。

武蔵大学は29年度から社会学部に「グローバル・データサイエンスコース(GDSコース)」を開設し、現実の企業や自治体の活動を視野に入れた、実践的な能力養成に注力している。

今回の協定締結によって、GDSコースの学生が2年次に履修推奨されている授業において、ADKが実際のビジネスで活用している

「こうすることで、学生は大学にいながら、企業現場のデータ分析の経験を得ることができます」(武蔵大学広報室)

現場で働く人を招き授業に参加

また、現場で働いているADKの人たちを、ゲスト講師のような形で招いて授業に参画してもらったり、学生が分析結果をプレゼンテーションし、それを評価してもらうなど、より踏み込んだ取り組みについても検討していく。

「GDSコースは、単にデータ分析や情報処理能力にたけている人材を養成するのではありません。実際の企業や行政といった現場の問題解決に、データサイエンスの視点を取り入れられる人材を養成します。そうした意味で、実際にデータサイエンスの視点を取り入れてビジネスを行っている企業との連携は、大学教育をより実践的にするために不可欠な要素です」(武蔵大学広報室)

将来の働き方をイメージしやすい

広告会社やマーケティングリサーチ会社の中でもADKと提携を結んだ理由について、武蔵大学広報室は次のように話す。  「ADKは、グローバルとデータサイエンスの領域での研究や人材育成に関心を持ち、独自調査や外部調査のデータをもとにしたデータオリエンテッドなビジネスを実践しています。まさに、GDSコースの学生が、将来の働き方をイメージできるような取り組みを実践していることが、協定締結の大きな理由です」

授業では常に意見を言うことが求められる

GDSコースの授業は、内容だけでなく進め方においても、学生に力を付けさせるための手法が展開されている。

授業において、学生は挙手または教員からの指名によって、頻繁に意見を言うことが求められる。

「常に自分の意見を頭の中で巡らせ、他人に伝える言葉選びをしないといけない。相手に納得してもらえる意見を出すとても良い練習になっている」とGDSコースで学ぶ学生は話す。

また、英語力の育成にも力を入れており、意見発表や質問などすべて英語で行う授業もある。

近年、企業などでは、ビッグデータ、人工知能、IoTをコミュニケーションやマーケティングに活用するケースが増えてきたことを受け、大学ではデータサイエンスを学べるカリキュラムの新設が相次いでいる。

その中でも、武蔵大学は、大手の広告会社が実際のビジネスで活用しているデータを授業で活用するなど、より実践的な学習がなされるのが特徴だ。

データサイエンスに関心を持つ高校生らにとっても、大きな魅力となるに違いない。(蓬田修一)

 

【2018年1月1日】

 

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