第42回教育委員会対象セミナー・岡山 ICT機器の整備計画/校務の情報化

8月23日、教育家庭新聞社主催で第42回教育委員会対象セミナー(岡山開催)が開催された。当日は多数の教育関係者が参集し、ICTを活用した教育事例を共有。積極的な情報交換が行われた。

教員の業務改善と新たな学びを創造 岡山県立林野高等学校・安東幸信主幹教諭

1人1台のChromebookを導入

岡山県立林野高等学校・安東幸信主幹教諭
岡山県立林野高等学校・安東幸信主幹教諭

美作市内唯一の高等学校である林野高等学校は、市内の3校が再編成され今日に至ったことで難関国立大学から就職と多様な進路希望をもつ生徒が入学、在籍するようになった。

そのため、カリキュラムの工夫を行い、1年次は習熟度別、2年次からは進路目的別にカリキュラムを編成した。さらに、ICT機器の生徒利活用を進めるために、岡山県教育委員会、美作市、明治大学の協力のもと、Googleの実証実験に参加した。事務室を中心に、グループウェアG Suiteの登録 、無線LAN環境でのChromebook活用のための環境を整えた。これによってクラウド上で課題を提示、回収することが可能になり、アンケート機能で小テストを作成・回収・採点してデータを可視化することなどもできるようになった。

全教室に導入されている短焦点プロジェクターは活用されているものの教員による一斉提示がほとんどであった。昨年度から同校に赴任した三浦隆志校長はICT教育に造詣が深く、生徒の利活用が不足していると指摘。本取組に踏み切った。

昨年度2月から本年度9月まで、生徒用端末としてChromebook1クラス分+教員用として計36台を検証用に貸与された。

これらの活用前、数学の定期テストの問題解説の場面では、教員が「解説が必要」と判断した問題を黒板上で解説していたが、理解できていない部分は生徒それぞれで異なり、ニーズに合っていなかった。そこで、解説動画を大問ごとに作成してG Suiteのドライブにアップ。生徒はそれを各自のChromebookで必要な問題の解説動画を視聴して理解を深めた。教員が授業中に問題を配信して、どの生徒が正解しているのかもすぐにわかる。問題が早く解けた生徒は周囲の生徒をフォローするなど、紙媒体ではできない学習が可能になった。

1人1台活用のメリットは、わからないことをすぐに自分で調べることができること、学習意欲の向上による家庭学習時間の増加が期待できる点などであると話す。皆で1つの考えをまとめるなど共同編集もG Suiteのアプリ上で行う。発音が英語で記録される機能を使うことでスピーキング能力も測定、強化できる。

教員の業務改善や効率化にも役立つ。クラウド上に会議資料をアップし、各自がそれを一読してから会議に臨むことで、大幅な時間短縮を図ることができた。

効果検証も行った。Chromebookの活用については、活用機会が最も多かった3年次生で肯定率が高かった。通常の授業を2年間受けて3年目に新しい方法で授業が展開したことから、違いを明確に感じたのではないかという。

教員については96%が「生徒の意欲を高める」、88%が「効果的である」と回答。これらの成果を基に、今年度の現1年次生は10月から全員がChromebookを所有、活用を開始する。教員は、思考過程の検証や検索ワードの検証による生徒の思考の評価・分析という新しい形で支援。従来の授業に加えて、知識を自ら獲得して活用していくことで、未知の課題に対して前向きに取り組むなど変化をいとわず学び続け、チャレンジし続ける、そんな生徒を育みたいと語った。

【講師】岡山県立林野高等学校・安東幸信主幹教諭

 

【第42回教育委員会対象セミナー・岡山:2017年8月23日

【2017年10月2日】

1、西条市教育委員会学校教育課・渡部誉指導係長 2、岡山大学 宮本浩治准教授
3、新見市教育委員会学校教育課・真壁雅樹主査 4、岡山県立林野高等学校・安東幸信主幹教諭
5、尾道市立日比崎小学校・大谷哲也教諭

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