第41回教育委員会対象セミナー・京都 ICT機器の整備計画/校務の情報化

教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー〜ICT機器の整備と活用と管理・研修」が、8月8日京都で開催され、約100名の教育委員会や教職員が参集した。

主体的・対話的に学びを学校図書館で支える 京都産業大学・大平睦美客員教授

様々なメディアから情報を探し出せる環境に

京都産業大学・大平睦美客員教授
京都産業大学・大平睦美客員教授

SNSを誰もが使いこなす時代において、教室だけが従来通りの学びで良いわけがない。子供が主体的に学ぶため、学校図書館や電子メディアの活用など、学びのあり方を考え直すべきであると大平氏は述べる。

学校図書館での調べ学習も増えている。本もメディアの1つであり、必要な情報を得るのは、必ずしも本からである必要はなく、PCやタブレット端末を使ってインターネットから情報を得ることも可能だ。自分の好きな方法で求めている情報を見つけ、正しい情報を選択する力を養うことが大事であり、様々なメディアから情報を探し出せる環境を整えることが自治体や学校に求められる。

学校図書館は、読書活動や読書指導を行う「読書センター」と、情報を収集・選択・活用する「学習・情報センター」の2つの機能を持つ場所。授業や課題学習で与えられたことに対して、本を読み、調べているだけでは受動的な学びしか生まれない。これからの学校図書館は学習・情報センターとして、能動的に児童生徒が興味を持ったことを調べ、まとめ、発表するなど情報リテラシーを活用する場と考えるべきである。子供にタブレット端末を持たせただけでは、主体的な学びは生まれない。同じく学校図書館で児童生徒が調べ学習を行うだけでは主体的な学びとならない。主体的な学びを生むための教材研究など、教員の工夫と授業改善が求められている。

学校図書館は図書の貸出機能以上に検索機能が重要だが、PCや目録カードが整備されておらず、探している本を検索して見つけることができない学校図書館も多い。学校図書館で調べ学習を行っても、本を探しているだけで授業が終わってしまうケースもある。

ICTで自動化を

運営管理の人手不足から放課後や休み時間に使えない学校図書館も存在する。そうした課題を解決するための手段として、ICT導入による学校図書館の自動化を挙げる。自動貸出機や自動返却仕分機、IC蔵書点検など自動化が可能な要素は多く、実際に導入している図書館もある。学校図書館に人が不要というのではなく、一部の作業を機械に任せることで負担が軽減される。

蔵書5000冊の学校図書館を自動化した場合、その予算は500万円から700万円程度。職員1人を1年間雇用するのと同じ程度。予算の多くは導入時にかかるため、2年目以降、自動化のコストは安く抑えられる。

ICT活用で距離を超えた調べ学習も実現する。会津若松市立湊小学校(福島)、京都市立錦林小学校、川本町立川本小学校(島根)が、テレビ会議システムを使った遠隔交流学習を行うにあたり、大平氏がサポート。5年生が地域の良さをPRするためのCM作りに挑戦。地域学習にキャリア教育や環境学習の要素を加えて調べ学習を行った。

「それまでの調べ学習で、調べた内容を発表者が理解しているのか疑問に思っていた。離れた相手に伝えるには内容を理解した上で説明する必要があり、遠隔地との交流で発表のスキルが高まった」と語る。

【講師】京都産業大学・大平睦美客員教授

 

【第41回教育委員会対象セミナー・京都:2017年8月8日

【2017年9月4日】

1、文部科学省情報教育課・松本眞課長補佐 2、同志社中学校・高等学校・反田任教諭
3、京都産業大学・大平睦美客員教授 4、京都教育大学附属桃山小学校・山川拓教諭
5、草津市立草津小学校・糠塚一彦校長 6、滋賀県立虎姫高等学校・堀浩治教諭

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