教育委員会対象セミナー・名古屋 ICT機器の整備計画/校務の情報化
1月25日に第37回教育委員会対象セミナーを福岡・天神クリスタルビルで、2月8日に第38回教育委員会対象セミナーを名古屋・名古屋国際センターで開催した。次回、第39回教育委員会対象セミナーは、3月29日に岡山・岡山コンベンションセンターで開催する。セミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ
文部科学省 生涯学習政策局 情報教育課 情報教育振興室 鹿野利春教科調査官 |
読解力向上に向けて次年度から対応
学習到達度調査(PISA2015)で、日本は数学的リテラシーや科学的リテラシーで高い成績を示す一方、読解力の平均点は低下した。原因は、コンピュータ上の複数の画面から情報を取り出し、考察しながら解答する問題などで戸惑いがあったと考えられる。そこで国は読解力向上に向けた対応策を打ち出し、言語能力・情報活用能力の育成に関する指導を充実させる。
語彙力の強化や、比較・分類など情報の整理に関する指導の充実、PCを活用した読解の充実などを進め、具体的な指標として「次期学習指導要領の方向性を踏まえた指導改善ポイント」を作成、公表する。
査研究も実施。高校生を対象に「リーディングスキルテスト」を実施して課題を分析する。諸外国の国語の授業におけるICT活用・指導の現状も調査して取りまとめる。全国学力・学習状況調査では、ICT活用型の読解力の測定方法を開発する。
学校ICT環境整備も促進。地方財政措置を講じると共に、自治体における学校ICT環境整備率の実態把握を行う。教育ICT教材整備指針(仮称)の策定も現在進行中だ。
カリキュラム・マネジメントは不可欠
新しい学習指導要領が示す学びの実現にカリキュラム・マネジメントは欠かせない。
学校の教育目標を明確にし、教科横断的に児童生徒の資質能力を育てることが次期学習指導要領では求められる。
学校や地域でどのような子供を育てたいかの目標を明確にし、それに応じて教科・科目を編成、組織的に配列する。そして効果測定、さらに改善を図るPDCAサイクルを確立する「カリキュラム・マネジメント」の実施が求められている。必要に応じて外部の人的・物的資源も活用していく。
情報活用能力の育成を図るためのプログラミング教育
小学校段階からプログラミング教育がスタートする。
小学校のプログラミング教育は、意図した処理を行うようコンピュータに指示することを体験してプログラミング的思考などを育むもの。コーディングのみを求めるものではない。理科や算数、音楽、特別活動、図画工作、総合的な学習の時間など各教科での取組を現在整理中である。
次期学習指導要領で高校生全員が履修する科目である情報Tではプログラミングに関する項目を設け、発展的な内容の選択科目となる情報Uではデータサイエンスなども扱う。大学入学者選抜における共通テストでの教科「情報」については現在、検討中である。
ICTの効果的な活用
一斉指導でのICT活用促進のため、すべての普通教室に電子黒板やプロジェクター等の整備が求められている。教室で調査活動を行うためには無線LANや情報端末の整備が必要だ。さらに意見交換や協働制作、発表・話し合いを活発に行うためには、情報端末だけではなく、ソフトやアプリケーションの整備も求められている。
ICT環境整備の最大の課題が都道府県による整備格差だ。現在、68・1%の自治体で整備計画策定の予定がないと回答しているが、計画なくして実現は難しいので早急に策定してほしい。
次世代の情報化を視野に新規事業
文科省では平成29年度の新規事業「次世代の教育情報化推進事業」を行う。
次期学習指導要領を見据え、カリキュラム・マネジメントのあり方や、それに基づく指導方法・教材の利活用に関する実践的な研究を実施する推進校を選定して行う。
同じく新規事業の「次世代学校支援モデル構築事業」では、教員による学習指導や生徒指導の質の向上、学級・学校運営の改善などに資するための実証研究を進める。全国の複数地域での実証を予定しており、教育委員会関係者には積極的な応募を期待している。
【講師】文部科学省 生涯学習政策局 情報教育課 情報教育振興室 教科調査官・鹿野利春氏
【第38回教育委員会対象セミナー・名古屋:2017年2月8日】
【2017年3月6日】
1、文部科学省 鹿野利春教科調査官 2、春日井市教育委員会 前川健治指導主事
3、豊田市教育委員会 緒方秀充指導主事 4、加賀市教育委員会 山田利明課長
5、浜松市立三ヶ日西小学校 菊地寛教諭
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