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文章の添削をwebで行える。テキストチャットで文章をブラッシュアップする。 |
学生にとって、文章を書く機会は授業で提出するレポート、就職活動でのエントリーシートや小論文、卒業論文などとても多く、文章作成のスキル向上は必須。
金沢工業大学では、学生の文章作成能力を向上させるため、「リアルタイム遠隔文章作成指導支援システム」を構築。試験運用を行ったところ、指導スタッフ、学生双方から高い評価を得ることができた。
対面指導が受けにくい学生向けに開発
同大学では、学生の文章作成を支援するため、「ライティングセンター」を設置している。
ここには、文章を指導するスタッフがいて、学生と対面で、小論文や各種レポートの添削および文章作成におけるヒントを与えている。しかし、4年生は就活の小論文や卒論の作成などで文章作成の指導の必要性が高いにもかかわらず、同センターのある扇が丘キャンパスから15キロほど離れた八束穂キャンパスの研究室にいることが多いため、同センターを利用しづらい状況にあった。
システムの開発に携わった、金沢工業大学 情報フロンティア学部 メディア情報学科 山岸芳夫准教授は「今回のシステムによって、ライティングセンターのスタッフが、学生にオンラインでリアルタイムに、対面と同様の文章作成指導を行えるようにしたかった」と話す。
システムはウェブアプリケーションのため、ソフトのインストールなどは必要なく、ブラウザのみで利用が可能だ。
ウェブアプリなのでブラウザから利用可能
利用するには、ログインし、指導者あるいは学生が、アプリ上に「ルーム」を作成する。双方がルームに入ると、文章の作成、推敲、添削が可能な画面になる(画像上)。
ここで学生は文章を書くか、コピー&ペーストして入力する。指導者と学生はテキストチャットしながら推敲添削を進める。その際、各種アノテーションツール(画像下)を用いて文章にアノテーション(強調、注釈、修正指示など)を追加することができる。
指導スタッフ、学生ともに高評価
テキストの変更およびアノテーションの内容は、指導者側、学生側ともにリアルタイムで画面の文章に反映される。再度ログインしてルームに再入室すれば、最後に保存された状態から閲覧したり指導を続行したりできる。
試験運用した結果、指導者側からは「非常に便利。遠隔のみならず対面の指導においても有効ではないか」という意見があった。一方、学生からは「センターから八束穂キャンパスにいても文章を見てもらえるのでとても助かる。システムが本格運用を始めたらぜひ利用したい」という感想が複数寄せられた。
「学会で発表したところ、大学コンソーシアムで行っている大学間連携の取り組みにも応用できるのではないかというコメントをいただきました」(山岸准教授)
今後は要望があれば、音声によるチャット機能などの追加も行っていく予定だ。
山岸准教授は「添削指導を人工知能で行えれば、スタッフの負担が激減すると予想できます。ただし、そのような環境が実現するのは、もう少し先の未来になりそうです」と話す。
【2016年10月3日】
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