特集:デジタル教科書教材最新情報  

学習者用デジタル教科書は学び合いのプラットフォーム<光村図書>

小平市立小平第七小学校1
デジタル教科書の書き込みをグループで比較、共有する(小平市立小平第七小学校)

光村図書出版は、平成27年度版小学校国語及び平成28年度版中学校国語教科書の準拠教材として、学習者用 光村「国語デジタル教科書」を来年3月に発売する。本教材のモニター校も10月から募集する。学習者用のデジタル教科書(教材)を今、発売する理由は何か。その理由と機能の特徴を聞いた。

小学校国語 中学校国語
学習者用を新発売

光 村 図 書

指導者用デジタル教科書の導入は、小学校では48・3%、中学校では47%に達している(関連4面)。では学習者用デジタル教科書の導入はどこまで進むのか――個人用情報端末等の導入次第という見方もあるが、次期学習指導要領に求められている様々な力の育成において学習者用デジタル教科書の有効性を示すことができれば、個人用情報端末等の導入を始めとする教育の情報化推進の後押しにつながる。

そこで同社では、小中学校での実証を踏まえて学習者用デジタル教科書を開発。アクティブ・ラーニングの具体的な在り方の1つとしてその有効性を示す。実証校では既に学力に伸びが見られており、児童生徒1人1台端末整備を進める学校や自治体には特に導入を薦めたいとする。

教科書画面で深く学び合い

日野市立平山小学校
デジタル教科書画面に引いたマーカーを元にワークシートを整理
(日野市立平山小学校)

学習者用 光村「国語デジタル教科書」は、小学校版・中学校版ともに、教科書紙面を再現したコンテンツと各種教材など教科書外のコンテンツ、特別支援を想定したコンテンツを提供している。

次期学習指導要領では深い思考につながる学び合いが求められている。深い思考には、文章との対話が必要だ。国語科においてその第一歩は「教科書への線引き」だ。各段落の中心となる文に線を引くという全員が取り組みやすい活動は、深い対話を導く大前提になる。

これを情報端末上で行うことで、実証校では、友人の情報端末画面を見て自分の内容を見直す児童、グループ内の2人の児童の説明し合いを、身を乗り出して聞く児童など、多様なシーンが見られた。学習者用デジタル教科書と情報端末の活用により、書き込みの修正や見直しがしやすいため、「正解・不正解」の確認に留まらず、「誰がどこにどんな理由で線を引いたのか」を主体的に共有する学び直しや思考の練り直しなどの活動につながった。

特別支援機能で誰でも学べる

特別支援機能には、総ルビ、朗読音声、リフロー画面(文字の表示サイズに合わせて本文の改行が変更される)等を提供。

「総ルビ」表示は、漢字の読み書きが困難な児童だけではなく、発表などに備えて読み方を確認したい児童生徒にも有効だ。ある実証校では、クラス38人中、27人が総ルビ機能を表示。紙の教科書にふり仮名を書き込む様子も見られた。

朗読機能は、自分で読むことが苦手な児童生徒にとって、事前学習などにも役に立つ。

「マイ黒板」は思考の作業台

マイ黒板画面
教科書の本文や挿絵を抜き出して作業する「マイ黒板」機能

教科書外コンテンツとして、小学校版、中学校版ともに「マイ黒板」や言語事項の各種ワーク、動画資料を提供。

「マイ黒板」は教科書上の文や挿絵、図表等を自由に「自分の黒板」上に抜き出せるもの。教科書を見ながらキーワードをピックアップして思考や文章構造を可視化するなど「思考の作業台」として多様に活用できる。

言語事項等のワークは、基礎基本の確立に役立つ。自分の情報端末でできるので、自学自習の幅も広がる。
特に現場教員のニーズが高いのが、「話すこと・聞くこと」領域の動画教材だ。個別に自分のペースで視聴、グループで視聴、全体で視聴と段階を追って活用できるので、話し合いや深め合いを展開しやすい。

文字だけでは理解しにくい言葉についての資料動画も提供。このほか小学校版では筆順アニメーション、中学校版では、人物相関図作成ツール、文章構成ツール、フラッシュカード(漢字・言葉・古典)を提供。1人ひとりが個別の情報端末で学習することで言語事項の充実を図り、深い学びにステップアップするための基礎を築く。

活用モニター校100校募集

2020年度以降の販売形態は未定であるが、教科書部分と教科書外コンテンツを別売する可能性が考えられる。同社では今回、双方ともに提供。両者を連携した活用により、より確かな効果を実感してほしいというのが狙い。大きな節目となる2020年に向けて、学習者用デジタル教科書の使い勝手やメリットを広める考えだ。

同社では、小学校100校のモニター校を募集する。モニター校は、平成27年度版小学校教科書に準拠した光村「国語デジタル教科書」を10月17日〜2月末まで無償で活用できる。詳細は光村図書Webまで。

【2016年10月3日】

>>教員用タブレットPCでデジタル教科書を活用
>>教科書準拠のデジタル教材 Webで無償提供

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