合理的配慮にICT活用

障害者差別解消法4月施行でセミナー実施

Windowsクラスルーム協議会
「障害による不利益」を是正する手立ての一つとしてICTを活用

4月1日から「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下、障害者差別解消法)」が施行された。それに先立ち、Windowsクラスルーム協議会は3月31日、「教育における合理的配慮へのICT活用推進セミナー」を開催した。障害者差別解消法のポイントや、実証研究で実践された合理的配慮におけるICT活用の事例とその効果が紹介された。

"平等"を図る活用を共有

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「障害者差別解消法」は、「障害を理由とする差別の解消」と「合理的配慮の提供」を求めるもの。学校でも発達障害や学習障害、身体障害などがある子供への対応が必要となる。この合理的配慮への手立てとして、ICTの効果が期待されている。

文部科学省初等中等教育局の齋藤憲一郎氏は、「障害者差別解消法によって、障害のある子供や保護者から合理的配慮の意思を表明された場合、学校は過度の負担とならない範囲で障壁の除去を実施しなければならない。これが、平等な『教育を受ける権利』の行使である」と述べる。

学校にとって過度の負担にあたるかどうか、またどのような対応が可能かどうかなど、学校と子供本人・保護者が建設的対話をしながら、具体的な配慮についての合意形成をすることが求められる。

つくば市立春日学園では平成27年度、「合理的配慮へのICT活用推進プロジェクト」を展開した。同校の山口禎絵教諭は、同校の実証研究において、読み上げ音声機能のあるコミュニケーションアプリで自分の意見を伝えられた児童や、パワーポイントのアニメーション機能を使った「漢字のお話づくり」を通して漢字の読み書きができるようになった児童などの事例を報告した。「障害のある児童が自分だけタブレットを使うことに抵抗を感じ、学級全体への説明が必要となった。視力の悪い子が眼鏡をかけるように、読み書き障害のある子もタブレットを自然に使える環境づくりが重要」と述べた。

東京大学先端科学技術研究センターの近藤武夫准教授は、障害のある子供たちの進学・就職をICTの活用により応援する取組「DO‐ITJAPAN」を展開している。「ワープロで大学入試を受ける、試験時間の延長が認められるなど、障害を除いた能力を評価する手立てが必要」と述べる。「同じ取り扱いが平等なのではなく、異なる取り扱いを入れて平等にする」という「平等」に対する考え方が、全国の学校現場に求められている。

障害者差別解消法ICT活用プログラムを実施

ICT機器など貸与

Windowsクラスルーム協議会は、東京大学先端科学技術研究センターと連携して「障害者差別解消法ICT活用プログラム」を平成28年4月18日から翌年3月31日まで実施する。

ICT活用の有効性を全国に広げることを目指しており、学習や生活を支援するタブレットPC、無線LAN、ソフトウェア・アプリなどの貸与などを行う。本プログラムは、全国の都道府県・市町村の教育委員会、学校法人が設置する私立学校から、応募を随時受け付ける。「対象となる児童生徒の人数と状況」「希望するICT環境」等を明記してメール送付。応募受付後、審査を行い、提供先・提供内容・提供期間等を決定する予定だ。

mail:wic‐consortium@seminer.jp

▼詳細=www.microsoft.com/ja‐jp/education/wic‐consortium/accmmodation.aspx

 

【2016年4月11日】

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