多様な研修を充実<中央教育審議会・教員養成部会>

新たな教育課題に対応できる教員研修と教員養成

7月16日、文部科学省の中央教育審議会・教員養成部会は「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について(中間まとめ)」を公表した。教員の養成・採用・研修の一体的改革に対応できる制度的枠組みや、新たな教育課題(アクティブ・ラーニングの充実、ICTを用いた指導法、道徳、英語、特別支援教育など)に対応した研修・養成を実現するため、教員育成指標及び研修指針の策定や教育委員会と大学等との協議・調整のための体制(教員育成協議会(仮称))の構築、教員研修内容の充実、教職課程の改善を行うとしている。

アクティブ・ラーニングが全学校種に求められている

今後、さらに具体的な検討を継続して年内に答申をまとめる。主な検討内容は、メンター方式の研修(チーム研修)など研修の方法の検討や計画の策定、教職大学院等との連携、学校インターンシップの教職課程への位置付け、教員育成指標の策定、教員育成協議会(仮称)の創設についての制度設計、教員採用試験の共同問題の作成など。

求められる多様な研修

多岐にわたる教員研修が求められている。

アクティブ・ラーニングの充実や情報の収集・活用能力に関する指導力の向上のための研修。

児童生徒が学習の道具や環境として適切にICTを用いて学習を進めることを教員が促すなどの「授業力の育成」を図る研修。

ICTの実践的活用や情報セキュリティ等を含めた情報モラルなどの情報活用能力の育成に資する指導に向けた研修。

新たに学習指導要領に「特別の教科」として位置づけられた道徳科の目標や内容の理解、児童生徒が議論する問題解決的な学習への一層の転換を図るなどの研修。

全ての教員が特別支援教育に関する基礎的な知識・技能を身に付けるための研修。

各地域の幼児教育の教育内容や指導方法、指導環境の改善等について指導・助言を行う「幼児教育アドバイザー(仮称)」の養成も求められている。

中間まとめでは、1人の教員がこれらの課題すべてに対応することが困難であることから、様々な専門性を持つ地域の人材と効果的に連携した、「チーム学校」として諸課題に対応する必要があるとしている。

全ての学校種の教員がアクティブ・ラーニング

教職課程においても同様だ。

アクティブ・ラーニングに関する指導力や適切な評価方法を全ての学校種の教員が身につけるべきとし、教職課程においても各教科の指導法に関する授業等に取り入れる。

教員養成課程の授業を課題探究的な学習や、学生同士で議論をして深め合う授業とすることも求められている。

ICTを用いて効果的な授業を行うこと、適切なデジタル教材を開発・活用できる力、子供たちの情報活用能力の育成を図る力の基礎を育成すべきとしている。

道徳については、理論面、実践面、実地経験面の3つの側面から改善・充実を図る。

小学校中学年の外国語活動導入と高学年の英語の教科化に向け、「小学校英語」に関する科目を教職課程に位置づけるための検討を進める。

発達障害を含む特別な支援を必要とする幼児・児童・生徒に関する理論及びその指導法は、学校種によらず広く重要なことから、教職課程において独立した科目として位置付け、より充実する。

地方創生や起業体験など新しい観点を踏まえたキャリア教育、生徒指導や自然体験活動の充実、幼小接続を始めとした学校間連携などの取扱いも充実。

こうした新たな課題の対応を含め、カリキュラム・マネジメントについて、養成段階においてその基礎を身に付ける。

なお教員免許制度については、これらの検討が終了した後に、総合的な検討を進めていく。

【2015年8月3日】

 

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